☆きらきら☆

「だれよりもすきだったサッカーver」掲載中


43この想いの行方5




竹内から連絡をもらったのは、その日の夜だった。
呼び出されたのは中学校の前。
互いの家の中間地点。
蒸し暑さを感じる夏の夜。
学校の前に佇む人影が揺れた。
校門前の外灯はほんの少し青みを帯びていて、竹内の顔色も青ざめて見える。
実際、そうなんだと思う。
竹内がこんな場所に突然呼び出してきた理由なんて一つしかない。




「聞きたいこと、あんだけど」
感情を抑え込もうとするような竹内の低いトーンは普段の明るく弾んだ声とはまるで正反対で、オレは確信を持った。
マミを弄んだ相手がオレだと知ったんだ。

「マミの、ことだよな」

そう言ったとたん、頬に衝撃が走った。
こぶしを握って、だけど泣きそうな顔になってる竹内。
口の中に鉄さびの味が広がる。

「なんでだよ・・・・お前、なんで・・・・・」
「オレは・・・・・サイテ-の人間だって、言っただろ。
いい加減でテキトーなやつだって」
「理由が、あんだろ?言ってくれよ。頼むからちゃんと説明してくれ。
そうじゃなきゃ、俺はお前とこの先顔合わせらんねえ」
どうして竹内が懇願するんだよ。
意味が、分からない。
「サッカーは、そんな奴じゃない。俺は知ってる!
なんでこんなことになってんだよ。なんでお前なんにも言ってくんねーんだよ。
お前が訳もなく誰かを傷つけるわけ、ね―じゃんっ」

オレは頭を振る。
買い被りすぎだ、竹内。
お前の知ってるオレの姿の方が偽りだ。

「・・・・・マミから聞いた。お前、後腐れのない女とばっか遊んでるって。
だけど自分と付き合うようになってからは遊ぶ女も減ってきて・・・だから脈があるって思ってたって。
そんでちょっと踏み込んでみたらあっけなく捨てられたって」
「オレは・・・・あいつの名前も知らない。知ってんのは商業通ってるってくらいだ」
竹内は愕然として、それからその場に座り込んだ。
「・・・・・あいつ、バカなやつだよな。ちっとも相手にされてなかったんじゃんか」
「・・・・・・・・ごめん」
うなだれるオレに竹内は笑って見せる。
「オレの彼女だって知ってたわけじゃないんだろ」
オレは小さく頷いた。
「ホントに・・・・・ごめん」
「お前が彼氏いるやつには手出さないって知ってたから、オレのこと黙ってたってさ」
竹内は乾いた笑い声をあげた。
「あいつにとって俺の方が遊びだった。それだけだ」
ほんの少しの沈黙があって、竹内は、ただ立ち尽くしているオレを見上げた。
「なんで、こんなことしてんだよ」

わからない。
オレはゆるゆると頭を振る。

「・・・・・・・高村とは、もうどうしようもないのか?」

頷くオレに竹内は、ただ小さく「そうか」と呟いた。
「まだ、女遊びしてんの?」
首を横に振る。
「もう、しない。二度と」
逃げたって誤魔化したって、残るのは傷だけだ。
竹内まで、傷つけた。
「俺は、お前がしたことは最低だって思うし、腹も立ったから殴った。
だけど、お前がオレの友達なのは変わんないからな」
「竹内・・・・」
「ずっとお前、気にしてたんだろ」
ちょっと躊躇って、正直に頷いた。
「だったらいいや、この話はこんでオシマイ」
立ち上がってパッパッと土を払う竹内は、もういつもの竹内の明るい笑顔になっていた。
「話したいときは言えよ。一人でため込んでないでさ。お前は昔から愛想良い癖にどっかよそよそしくて良くない。
高村のことだって、悪い方に捉えすぎなんじゃねえの?
お前がそんだけ引きずってんなら、向こうだって多少はそう思ってるはずだろ。
友達に戻るくらい、そんなに難しいことじゃないと思うぞ、俺は」



竹内が帰っていく姿を見送った後も、オレは中学の前で座り込んでいた。
ほんの三年前は、ここに通うことがなによりの楽しみだった。
高村と一緒にいられる時間が、オレにとってのすべてだったころ。

いいや、違う。
今だって、そうだ。

オレにとって高村は誰よりなにより大事な存在のまま。
あいつに嫌われていたって、こんなにも好きなまま。

思えば最初は、あいつがオレを何となく避けてるのをわかっていながらガンガン話しかけて構い続けて、
ようやくあいつはちゃんとオレを見てくれるようになった。

『友達に戻るくらい、そんなに難しいことじゃないと思うぞ』

なあ、竹内。
本当にそうだろうか。
もう一度、あんな風に出来るだろうか。
そうしたら高村はまたオレに笑顔を向けてくれるだろうか。
時々は怒って、時々は呆れながら、それでもオレの話に耳を傾けてくれるだろうか。
あの満たされていた時間に戻ることができるんだろうか。




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