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40この想いの行方2


T高は進学校なんかじゃない。
だけど毎月定期テストがあるのはどうなんだ。
中間に期末、それ以外の月には月例テスト。
中間や期末は授業の単元がその範囲だから、授業さえちゃんと理解していればなんとでもなるけれど
問題は月例テストだった。
それは月例テスト用の副教材から出題される形式となっているのだが
その内容について授業で扱うことはない。つまりすべて自主学習で理解しなければならない。
去年は、全然余裕だった。
宿題の質も量も大したことがなかった。
けど特進に入ってからこっち、宿題をクリアするだけでもやっとで
月例テストの対策なんていつやるんだって感じだった。


月例テスト直前に、進路調査があった。
就職希望だったオレは、特進に入る前、野々宮と目標を持つように言われたけれどまだこれといったものをオレは見つけられずにいた。
ただ、今はほんの少し、「進学」も悪くないかもしれないと思うようになっていた。
大学じゃなくてもいい。
何かの資格をとれた方がきっとこの先就職するのに有利だ。資格を生かして効率よく稼げる方がいいに決まっている。
けれどそんなオレの考えを野々宮は鼻で笑って一蹴した。
「わかってねえな。意味ねえんだよそれじゃ」
結局『進学希望・具体的な志望理由なし・志望校なし』という扱いにされてしまった。
主体性の無さが前面に出すぎだろ、これじゃ。
「これが今のお前なんだから別に拗ねることじゃないだろ」
「拗ねてねえよ!」
「春にも言ったがな、お前が特別ダメなわけじゃないぞ」
「結局ダメなんじゃん」
「やっぱ拗ねてんじゃん?」
「・・・・・・」
くそ、もう何も言わねえ。
「この時期にはっきり進路を決めてるやつの方が少ないぞ。
言っただろ、特進の奴らだって普通の高校生だよ。勉強がちょっとできるってだけでな。
お前は特進来てずいぶん頑張ってるじゃないか。それだけでも進歩だろ。
自分のこと褒めてやれよ。まあまだまだ不足だらけだがな」
ポンポンっと頭を叩かれてムッとするオレをやっぱり野々宮は笑う。
「良いんだよ、お前はお前の速度で進め。焦るなよ」




そんなやり取りがあった後の、六月の月例テストの日。
HRのあと、野々宮の指示で全員、鞄を廊下に出す最中、高村が小さな何かを落とすのを見た。
慌てて拾い上げホコリを払いそれを大切そうに鞄の中にしまう。
お守り袋のようだった。
高村が神頼みなんてなんとなく意外な気がした。

テスト開始後30分経てば、退室できるシステムだ。
高村はいつも大体その時間で廊下に出て行く。
廊下で見かける高村は、次のテストの勉強をしている。
この日は、その手の中にお守りがあるのを何度か見かけた。

高村はクラスの中でも成績上位者だ。
月例テストの順位表でも常にトップ5位までに名前がある。
中学時代K高志望だなんて言ってた事が恥ずかしいくらい、オレとの差は歴然で。
しっかり者の高村はきっと大学も決めているんだろう。
あいつなら推薦だって好きなところを選べるだろう。
それでもあんな風にお守り片手に頑張り続けてるんだからホントにすごい。

「拗ねてる場合じゃ、ねえよな・・・・マジで」
「ん?なんか言った?兄貴」
エプロン姿の良平がこっちを向く。
「つか、全然できてないじゃん盛り付け。早くやってよ。ごはんになんないじゃん?雅彦も!テーブルの上、綺麗にしろって言ってるだろ?」
すっかり手が止まっていたオレに揚げたてのコロッケが積まれたトレイを押し付けながら、リビングでごろごろしていた雅彦を叱る良平はすっかり『主夫』だ。
「言っとくけど俺受験生なわけ。一分一秒惜しいんですけど?兄貴も雅彦ももう少し家事覚えてくれる気ないわけ?」
「あーー。悪い悪い。片付けはオレが全部やるから」
「とーぜん!!何のための食事当番だよ。ほとんど毎日俺じゃんか」
まともな飯が作れるのが良平だけだから仕方ない。
しかし、良平も結構ノリノリで作っているようにしか見えない。
今日のコロッケのレシピもどこで調べたのか変わった材料を入れていた。
「ああ、これ?あんまり美味しかったから作り方教えてもらったんだよ。
どこの料理って言ってたかな・・・・忘れちゃったけど」
「またあたらしーカノジョできたのー?」
横からリクトがひょっこり顔を出してくる。
「はい、できました。でもこれ彼女のレシピじゃなくてちゃんとお店のレシピだよ。
テーマパークの中のレストランなんて期待してなかったけどすごくおいしくてさぁ。
頼み込んで教えてもらったんだよ。マジ旨いから期待してよ」
良平はにこにこしながらエプロンを外す。
「そうそう、兄貴のクラスの子いてさ、びっくりした!」
「!!良平、それ、いつの話だよ?」
「えーと半月くらい前かな。なんかー、ちょうど辞める日みたいで花束貰って帰んの見た」
高村、バイト辞めたのか。
野々宮に言われたからだろうか。
タイミング的にはそう考えてよさそうだ。
けど同じ時期、さらに遠い○○○駅への回数券を買って電車に乗る高村を竹内たちが見ている。
てっきりあの彼に会いに行くのだと思い込んでいたけれど、新しいバイトを見つけたのかもしれない。
どちらにしても、高村の行動範囲は随分と広くなっているのは確かだろう。

「写真も可愛かったけど実物の方がもっと可愛かった!!」
くそ、なんで良平があいつに会ってんだよ。
世の中、不公平じゃないか。
「彼女連れだったんだろ、お前」
呆れるオレを良平はまったく気にしていない。
「ブー。その日一緒だったのはただの女友達。デートの下見」
「良平、えげつないよな?兄貴でもそこまでしないじゃん」
「「うるさい、雅彦」」
めんどくさそうにテーブルの用意をしながら余計な口を挟む弟をオレと良平は叱る。
視界の端で雅彦がうっとおしそうに大きなため息をつく。
「でさ連絡先聞こうとしたら、店の人が邪魔してさ。なーんか追い出された感じ?」
良平の話によると、料理を運んできた高村にコロッケの作り方を尋ねる口実に連絡先を聞き出そうとした良平の前に、男性店員がレシピを書いた紙を突き出して高村を引っ込めたそうだ。
「口調は丁寧なんだけど『今すぐ出て行け』ってオーラ出しまくっててさぁ。ひどいよね?」
「まともな対応だろ」
「「雅彦は黙ってろ」」
「俺、正しいと思うけど?なあ、リクト。そう思わねえ?」
「うーん・・・・・お腹空いた―――」
「ガキ!」
「「雅彦!」」
ようやく食事の用意が整い、箸を取る。
例のコロッケは確かに旨かった。
「なあ、その店員って背が高くて眼鏡かけててゆるいパーマの男だったか?」
「そう!!まさにそうだよ!!!」
つながった。
やっぱり◇◇駅の車の男はバイト先のやつだったんだ。
「彼女のことも『キミ』とか言っててさー。あんな時間に帰らせたのもあいつの仕業だね」
「・・・・・そいつと、付き合ってるとか・・・・」
「ないね、絶対」
やけに自信いっぱいに良平は言い切った。
「俺、そーゆーの見分けんの得意」
どれだけあてにできるのかわからないが、良平の言葉を信じたい。
冬の日に見た男とパーマ男との二択しかないのなら、絶対そっちを選んでいて欲しい。

「兄貴ってさー、わかりやすすぎない?」
「だよな」
「うん!!」
「う、うるさいっ!!いーからとっとと飯食え!」



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