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「だれよりもすきだったサッカーver」掲載中


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35遠い存在7

ナツギの一件は、誰も口にすることはなかった。
あれ以降のナツギの授業も依然と何一つ変わらない。
高村もまるでなにもなかったように授業を受けている。

変わったことと言えば、野々宮が以前に増して高村に構うということくらいだろうか。
二人が一緒にいるのよく見かけるようになった。
野球部マネージャーの北川せいもそこに加わっては何やら楽しそうだ。

高村が一人になろうとしても、きっとあいつらがそうはさせないだろう。
もう高村は独りぼっちなんかじゃない。

結局いつも保身しかできないオレはあいつの傍にいる資格なんて、最初からなかったんだ。
ようやくそれに気が付いたオレはどこまでも愚かな男だ。





その日の学活は、スポ体の種目決めだった。
全員、何かしらの種目にエントリーしなくてはならない。
けれどチーム戦であるこのイベントにオレの入る余地はない。
水島が進行する中、高村は黒板に種目を書き出している。
「そんじゃ、まずは立候補で決めようか。種目読み上げるから挙手してください。稜ちゃんは俺が名前呼んだ人の板書、お願い」
「わかった」
「んじゃはい、まずは野球からー」
挙手する気はなかった。
人数合わせが必要な種目にあとで入れられるだろう。
それで構わない。
「はい、次はバレー男子。えーと・・・」
挙手している連中の名前が呼ばれる中、
「サッカー」
サラリと水島がオレの名を呼ぶ。
言っておくが挙手などしていない。
「俺もー」
教壇で学活ノートに記帳しているナルが手を上げる。
「水島も書いといて―」
「はーい」
板書中の高村は、何の疑問も抱かずにオレ、ナル、水島の名を忙し気に書きこんでいく。
クラスのやつらも特に反応はない。
オレと目が合った水島は小さく笑みを浮かべている。
どういうつもりだ。

「おい、水島」
学活終了後、席に戻ってきた水島を呼び止める。
「うん?なに?」
いつもの穏やかな笑顔をこっちに向けてくる。
すました顔しやがって。
ナルもそうだが、水島も食えない男だ。
「さっきのなんだよ」
「ああ、エントリー?こないだ授業でバレーした時にさ、上手いなーって思ったんだよね。オレら優勝狙ってるしよろしく」
「よろしくじゃねえ」
教室内の数人の生徒がこっちを見た。
廊下に出かかっていた高村も振り返った。
けれど水島は動じない。
穏やかな笑顔のまま、いやむしろ笑みを深めたように見えた。
「もしかして他にエントリーしたいのがあった?だったら話し合いもう一度やるけど?」
笑顔だけどそこにはほんの少し、底意地の悪いものが混ざっている。
そんなことできっこないよね?って。
オレが参加種目に文句があるわけじゃないことをわかっていながら、わざと話をすりかえてやがる。
「・・・・いらねえ」
「じゃ、問題ないよね。あ、稜ちゃんまって。職員室俺も行く!」
この話は終了とばかりに水島は高村のところへ駆けていくと、気がかりそうに水島に何か言っている高村の背を押しながら廊下に出て行く。
「いいのいいの」
そんな声がわずかに聞こえてきた。水島の笑顔が浮かぶ。
廊下から二人の姿が消えるのを呆然と見送るオレに
「サッカーくん、絶対応援するからねっ!!!」
坂下が高い声で話しかけてくる。
うるさい。

「みごとにはめられたな」
進路指導部に呼び出されたオレを待っていたのは、ニヤニヤ顔の野々宮だった。
カチンときたオレはそのまま踵を返す。
「わあ、待て待て。拗ねんなって」
余計腹立たしい。
オレは断じて拗ねてなんかいない。
腹の虫は収まってわけではないけれど、
「高村のことで少し聴きたいことがある」
その一言はオレを止めるのに十分すぎるほどの効果があった。

同時に不安が押し寄せる。
いい話なんかじゃないことは、簡単に察しが付く。

そもそもこれまで高村に関する話で良い話なんてあっただろうか。

そんなことが頭に浮かんでオレは苦いものを噛んだ気分になる。
他人から聞くあいつの話はいつだって、ちっともいい話なんかじゃあなかった。
あいつの幼馴染の梅や梅本先輩。
あいつのことを心配しているあの二人から聞いた話も、やっぱりどこか苦くて切なかった。

そんなことを気付かなきゃ良かったのに気づいてしまったことが、余計に苦い。

「どうした」
オレの様子に何か感じたらしい野々宮がわずかに眉間を寄せる。
いけない。
オレと高村の関わりを知られるわけにはいかない。

「オレに高村のこと聞かれても困んだけど」
「同じ中学だろ?ま、とにかく座れや」
「・・・・・」
渋々椅子に座るオレを野々宮がいつになくまじめな顔で見てくる。
だからよけいに嫌だった。
いつもあいつと楽しそうに話してる野々宮の口から、高村の「悪い話」なんて聞きたくない。
「俺も適当にお前を選んだわけじゃねえんだよ」
「・・・・・・オレは、なにもあいつのことは知らない。口もきいたことねえよ」
「それでも小中一緒なら俺たちにはわからないことも知ってるもんだよ」
まさか中学時代のクラスが一緒だとかそんなことまで高校が掴んでるとは思えない。
T高に来た同じ中学のやつらで、オレと高村の関わりを知ってる奴も思い浮かばかった。
野々宮の言葉通りの意味にとってもいいのだろうか。
すると野々宮がいつもの口角だけを器用に上げる笑みを浮かべた。
「そんな警戒すんなよ。高村のために少しでも情報が欲しい、それだけなんだ」
「・・・・あいつ、またなにかされたのか」
今度は柔らかに目を細める野々宮は首を横に振る。
「そこはなんとも。まだ状況が掴めていないんだ。ただもし何かあるにしても、できるだけ内々に済ませてやりたいと考えてる」
だから協力してくれ。
野々宮は頭を下げる。
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