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「だれよりもすきだったサッカーver」掲載中


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33遠い存在5


昼休みはだいたい連れの教室で過ごしている。
この喧騒の中にいると、何も考えなくてもいい。
「そういやサッカー、今度の土曜日、行くだろ?」
知り合いの家で名前も知らない奴らとただグダグダしてるだけの集まり。
中学時代に出入りしていたようないわゆる「不良」の集まりとは違って、
ただ暇を持て余してる高校生ばかりだから平和で気楽なものだった。
少なくともそこに来れば退屈せずに済む。
「あー・・・・やめとくわ。今週分の課題、まだ終われてないんだ」
「まじで?珍しいな」
「量がハンパないんだよ。ちっとも終わりが見えてこない」
締め切りに間に合わないと補習を受ける羽目になる。
「去年は余裕だったじゃん。お前でもできないとか。特進てまじこえぇ」
オレは苦笑する。
ホントに特進の連中ってなんなんだよ。


「ま、ちょうどいいかもな。マミ、来るとか言ってたし。もうあいつとは切れるつもりなんだって?」
頷くオレに全員が意外そうな顔をする。

あれからあの女からの連絡を全部スルーしている。
考えてみれば、マミとのやり取りはほかの女より多かったのかもしれない。
容姿のどこをとっても高村とは似ても似つかないのに、オレはあいつとマミを重ねていた。
ただ、ほんの少し、声が似てるってだけで。
けど、この間のマミの態度に完全に気持ちが冷え切った。
うっとおしい。
一度そう思ってしまえば、嫌悪に近い感情しか沸いてこない。
オレにとって女なんてその程度でしかない。

「珍しく長かったじゃん。てっきり付き合うつもりなのかと思ってた」
「いや、あいつ実はサッカーと会う前から彼氏いるらしいぜ。今も続いてるらしい」
初耳だった。
面倒を避けるためにフリーの女しか相手にしないようにしていたけれど、それも相手の自己申告任せだ。
「げ、マジか。やられたなサッカー。意外と遊び慣れてるんじゃねえあの女。
とっとと縁切ったほうがいいわ、彼氏にばれたらめんどくさい」
そうだそうだと周りが騒ぐ中、オレはため息をつく。
この間のあれも、彼氏との約束があったのかもしれない。
とんでもない女だな。
自分のことを棚上げしてそんな風に思うオレはサイテ―だ。

好きな女と勝手に重ね合わせてヤってたオレの方がずっと最低最悪のクズじゃないかよ。


教室に戻る途中、野々宮に出くわす。
「おう、仏頂面してどうした」
「・・・・別に」
相変わらずニヤニヤと面白がりやがって。
半ば八つ当たりで、オレは視線を逸らす。
ふふん、と野々宮は笑ってそれ以上何を言うでもなく去って行く。
完全に面白がられてるだけな気がする。
くそ。
見透かされてるようで癪に障る。
多分、良い教師なんだと思う。
特進に誘われたあの日、少なくとも信頼できると思ったしそれは変わらない。
ただ高村が野々宮に寄せている信頼度合の高さははたから見ててもはっきりしていて、それが気に入らないと言えばそうなんだろう。あんな風に高村が誰かのことを無条件に慕うのを見るのは、たとえ相手が野々宮であっても面白くなかった。
オレがそんなことを思う立場じゃないってわかっていても。
羨ましい。
そう思ってしまえばみじめになるだけだ。
だからそんな感情にふたをする。
昔のことは忘れて、今のことも見ないふりして、平気なふりをする。
それが今のオレにできる唯一のことだった。

ドンっ!!
「わっ」
「きゃっ」
突然体に受ける衝撃に思わず驚いたけれど、ぶつかってきた相手の方がずっと軽くて、
弾かれて転びかけたその肩を掴んで止める。
相手が高村だとすぐに分かった。
あいつの香りはすぐにわかる。
「ご、ごめんなさいっ!」
勢い良く頭を下げた高村は顔を上げてオレを見た途端フリーズした。
目を見開いて、小さく開いた口は「あ」の字になってて。
息を呑んだのが分かった。
それが息苦しくて、オレはその場を立ち去る。

たった一瞬の出来事。
だけどオレにとっては、とんでもなく衝撃的な出来事だった。

早鐘みたいな心臓を落ち着かせようと深呼吸をする。
柔らかな香りがまだ残ってる錯覚に動揺を抑えることができない。

なんであいつだけは、こんなに違うんだよ。

オレのことなんてもうとっくに眼中にないと思ってた。
けどあんな顔されたら。
あいつの心ン中で、オレはただの傷でしかないとしても。
それでもまだ残ってるって思ってもいいんだろうか。
オレに対する感情が、ほんのひとかけらでも。
それがたとえ「嫌い」の感情であっても構わない。
こんなの愚かで歪んだ考え方だってわかっている。
それでも。
オレは嬉しいって思ってしまう。
あいつの感情を、わずかでも揺らしたことに。



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