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29 遠い存在1



T高を志望した理由は自分でもよくわからない。
高村を追いかけたつもりはなかった。
このころのオレにはもうあいつへの感情がいったい何なのかも見えなくなっていた。
高村を見ない時間が長くなるにつれ「好き」という感情も「憎い」という感情もずいぶんぼんやりしていた。





周りが私学受験を始めたというのに進路も決めず、担任や親と揉めていたオレは、
渡された公立校の願書の受験校の記入欄にT高と書いた。
すでに成績はどん底でT高は厳しいのは明らかだったが、もう担任は呆れていたし親父も何も言わなかった。



受験校別説明会に受験当日に合格発表、高村はずっと一人だった。
声をかけるくらい、できたかもしれない。
あいつのことだから露骨に無視することはないだろう。
それでもオレは結局何もしなかった。
そして4月、オレはT高に入学した。


合格できたことさえ奇跡のようなオレだったが、それでも2組だったことに驚いた。
オレよりもできの悪い奴らがまだひとクラス分いる。
案の定1組2組は問題児が多くて(オレもその一人だが)授業中も騒がしく、
最初の頃はまともに教師の話を聞いているやつらは少数だった。
それでも毎月の定期テストの度に補習の嵐。サボれば親が呼び出される。
義務教育だったころはそれでも平気だったけれど、高校はそうはいかない。
夏を迎える前に何人もの退学者が出た。
自主的にやめた奴らとも中退後しばらくは会う機会もあったけれどその内連絡がつかなくなる奴もいた。
ほとんどが「転校」ではなく「中退」を選んだもののろくな働き口が見つからず苦労しているようだった。
「学校」という枠組みの中で呑気に過ごしているオレらと一緒にするなとはっきり言われたこともあった。

中学時代、学校に行かなくなってから出来た人間関係は高校進学を機に疎遠になった。
そうしようと思ったわけじゃない。ただ気がつけばそうなっていたというだけのことだ。
高校に行かない奴と行く奴との間には目に見えない壁が確かにあるのだろう。



オレは学生という呑気な括りの中で必要最低限の勉強をしつつ、生活態度にはあまりうるさく言われないのをいいことに、似たような連中とつるんで遊びまわっていた。
部活も入ってはいたけれどサボることが多かった。
学校が終われば仲間と遊び、家に帰るのは夜中というのも珍しくはなかった。
親父からも、学校はサボらない、家事の当番は守る、外泊はしない、これらの約束を破らない限りは特になにか言われることはなかったけれど、それでも外にいるほうが気楽なのはもうずっと前から変わらない。
そして、そういう浮ついた生活をしていれば自然と女遊びも覚えていく。特定の彼女を作らず、適当に面倒のない相手と遊ぶのが気楽だった。
けれどT高の女には絶対手を出さないようにしていた。
理由なんてない。
そういう女と学校で顔を合わすのはめんどくさい。ただそれだけのことだ。

そんな生活をしているうちに、オレが後腐れのない女をとっかえひっかえしているという噂が広まった。
間違いではなかった。
彼女を作る気なんて毛頭ない。ただその時限りを楽しむだけ。それ以上を望んできたり、彼女ヅラされるのも、うっとおしい。
そういう女とはすぐに手を切った。罵られたり泣かれたりもしたが、なんとも思わなかった。
オレはもう特別なんていらない。
オレにとっての特別はただ一人だ。



高村は特進クラスの7組だった。
学力の差が幅広いT高で特進と言えば、別格扱い。
階段や渡り廊下へ向かう広い踊り場スペースを挟んだ向こう側にある特進教室には、
それ以外の生徒が容易に踏み込めない空気がある。
授業中は教師の声しか聞こえてこないし、休憩時間でさえも7組前の廊下はどれほど多く生徒がいても落ち着いた雰囲気を漂わせている。
まるで動物園のような騒がしさのこっち側とは比べ物にならないほどになにもかもが違って見えた。
2組のオレは1組横の階段を使うから、高村とは動線が重なることもない。
移動教室の加減で週に一度だけ7組横の渡り廊下を使うけれど、高村を廊下で見ることは滅多になかった。
わざわざ高村の姿を探したりはしないが、それでもごくたまに偶然視界の中に彼女が入ってくると気持ちがざわついた。
でもそれは以前のような荒々しいものではなく、静かで、そしてすぐに消えてなくなる、そういうものだった。
あれほど心をかき乱された感情の熱さや重たさを、今では思い出すことさえ難しい。
次第に高村とのことは「綺麗な想い出」になっていくんだろう。
あんな風に誰かを想うことなんてもう2度とない。

それでいい。
それで、いいんだ。
そう思っていた。




なのに。

「2年からお前は特進クラスだ」

高1が終わるころ。
突然、進路指導部長から言い渡されたオレは頭が真っ白になった。




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