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「だれよりもすきだったサッカーver」掲載中


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23もどかしさの行きつく先6


裏門から続く通学路の横のフェンスを飛び越えると高村に手を伸ばす。
「おいで」
「・・・・は?無理無理」
怖がる高村の鞄を奪ってそれを足元に置くと高村に向かって両手を差し出す。
躊躇う彼女の両手を掴むとそっと前へと誘導する。
「足かけて。ある程度上ったら引き上げてやるから平気」
「や、怖いし!自分でやるからっ」
まだ抵抗するかぁ。やっぱり手強いなぁ。よし、こうなったら奥の手だ。
「フェンスまたぐ時にパンツ見えるけどいーの?」
「っ!?」
手堅い高村ならこういう下品な言葉に免疫がないだろうって読みは当たったようだ。
動揺しまくりの高村はそれでようやく観念したらしく、オレの手をしっかり掴みフェンスに足を引っかけた。
高村の動きに注意しながら引き上げてやると、スカートの裾を気にしながらようやくフェンスを跨ぐ。




フェンスを越えて律儀に礼を言う高村の手を未練を隠して離すとその代わりに彼女の鞄を手に取って歩き出す。
「あ、鞄」
「高村、コロッケ食べる?」
高村の言葉を無視してオレは話を変える。
「コロッケ?コロッケ屋さんがあるの?」
先に歩き出したオレの隣に彼女が追い付いてオレを見上げる。
興味を惹いたらしく目がキラキラしてる。
ダメだ、可愛すぎる。
「に、肉屋のコロッケ。旨いんだよ」

平日昼間の商店街には、小学の頃からの顔見知りのじーちゃんばーちゃんたちが元気そうに行き交っていた。
気楽に声をかけてくれるのは相変わらずだ。
学生がいて良い時間じゃないのに、そこには触れることなくニコニコと。
それをずっと煩わしく思っていたけれど今日は不思議なくらいに素直に受け入れてる自分がいた。

揚げたてのコロッケを受け取ると商店街の外れの人のいないベンチに移動する。
アツアツほくほくのコロッケを一口頬張った高村は、ほんっとに美味しそうに顔を緩めた。
「その顔」
見てるこっちまでとろけてしまいそうな笑顔につられてしまう。
「慌てて食うなよ?口火傷すっから。・・・・なんで笑ってんの?」
「ううん、なんでもない」
なんでもなくないくらい嬉しそうに高村は笑ってて、それからまたコロッケを頬張った。
「・・・・この間の試合ね」
コロッケを食べ終わった高村が口を開く。
「かっこよかった。えと・・・・また、見に行っても、いい?」
「え、来てくれんの?」
思いがけない言葉に驚く。だってあんな嫌な思いをさせたのに。
「また行ってもいいなら」
遠慮がちに高村は言う。そんなのいいに決まってるじゃん。
来てほしいに決まってんだから。
「じゃ試合決まったら電話する」
「あ、できれば電話より学校で教えてもらえる方がいい。うちさ、他の人が出たら取り次いでもらえないことが多いんでー」
何気ない風を装って高村は言うけれど、ホントは知られたくない事情に触れる事を口にするのは、すごく勇気がいるってオレは知ってる。それをオレに言ってくれたことが素直に嬉しかった。たとえオレだけの特権じゃなくてもいい。だってオレはまだその勇気がなくて、誰にも言えずにいるから。オレはまだ高村にそれを打ち明ける勇気が持てないでいる。だけど高村は言ってくれるんだな。
「了解。オレ、練習頑張るわ」
精一杯の答えを笑顔で返す。
「さっそくサボってるけどね」
「あ」
高村は笑い転げて、そんな高村の隣でオレもたくさん笑った。
コロッケを食べ終わって、もうここにいる理由はないはずなんだけど、それでもオレは動けないでいた。
高村も、オレの隣で何か考え込むように足元を見つめていた。
「あのね、この間の金曜日のこと。みんなで会ってた日のことだけど」
「う、うん?」
何を言うんだろう。ドキドキする。
「荒井が花火に誘ってくれた」
「・・・・・うん」
「でも花火の煙がきつくて、それで荒井が煙の来ないとこまで連れてってくれたの。花火見ながら二人で話したのは本当で、でもみんなもすぐそばにいて・・・」
二人きりじゃなかったことを高村は説明してくれた。
そういうことだったのか、と納得したオレだったけど、高村の表情はどこか晴れない。
「・・・・なんか、されたとか?」
ドキドキしながら聞いてみたものの
「え?なんかって?」
気が抜けるほど高村の反応は全然そんな空気を感じさせないものだった。
じゃあなんだろう、なんで高村はそんな曇った顔をしてるんだ。
「なんか荒井のことで悩んでんの?」
うーん、と高村は唸る。
「・・・・・荒井、意味わかんないことばっかするから・・・・」
「それは今に始まったことじゃないけどな」
「そうなんだけど・・・・・」
高村はチラリとオレを見た。
「え、なに?」
「う、ううん!なんでもないっ」
慌てて視線を外される。
え。
なんでそんな耳まで真っ赤にしてんの?
これって、もしかして。
まさかという思いとそうであってほしいという願いを胸に、高村の頬に手を伸ばす。
「ひゃっ?」
びっくりしたように肩をすくめた高村の両頬を手で包み込む。
「・・・・・まっか」
「っ!だ、だって!こんなの・・・っ」
高村の手が反射的にオレの手に触れた途端、彼女は一層慌ててひっこめたもののその手の持って行き場に困って結局二人の間の空間でぎこちなく固まってしまい、恥ずかしさに彼女は固く目を閉じて必死に俯こうとする。
うそ。
これって・・・・。
ほんとにほんとに、もしかして?
こんな反応、いやでも期待してしまう。
「高村、顔上げて?」
触れた手でそっと顔を上げさせると彼女は恐る恐る目を開ける。
「・・・・・高村に触れていいの、オレだけにしてよ」
「・・・・・え?」
「他のヤツに触れさせないでよ」
「・・・・そ、それって・・・・・」
あーーーーー、ヤベ。
これって、もしかして・・・・・もしかすると。
このまま、キス、とか・・・いけたり、する???
期待と緊張で心臓がバクバクと音を立てる。
だけど高村は眉をよせて難しい顔になって考え込むと
「・・・・・・・・あっ!?あれはっ!!!!違うのーっ!!」
慌てて立ち上がった。
「・・・・・・・」
・・・・・いい空気、台無し。
も-----、高村ぁ・・・・。

高村はオレの前に立ち、もう一回「あれは違うのっ!!」と言った。
「荒井、殴ったことすっごく気にしててっ!傷残ってないかってすっごく心配しててっ!それ確認してるだけだからっ!!もうずっとそーなのっ!!」
と、高村は力説するけれど。
いやいやいやいや、荒井に言いくるめられてるだけだからな、それ。
つかどんだけ触ってんだよ、くそ荒井め!!
しかもこの間のはオレへの挑発以外のなにものでもない。
・・・・それに見事に乗ってしまったわけだけどさ。
「ちょっと腫れただけで、怪我したわけじゃないって言ってるのに、見かけによらず心配性みたいでー」
それは高村に対してだけだってこと、ずっと気づかないでいてほしい、って思った。
「ほんとに傷になってねぇの?」
そもそもだ、女の子を、しかも顔を殴るなんてありえなさすぎ。
一つ間違えばとんでもない大怪我になるというのに。
まして荒井だぞ?男でもビビるようなバカ力の持ち主だぞ?
それなのに軽く考えてる高村は危うくて仕方ないし、放っておけるわけがない。
「なってないよー。サッカーくんも結構な心配性なんだねー」
だからそれは高村に対してだけだって。
これは気づいてくれるとすごく助かるんだけど。
「あー、でも、そんな心配しないでね」
「え?」
「荒井ともう会うことないから」
「え、そう、なの?でも・・・」
「もうあのクラスで集まることも無いしね。あ、でも試合あったらまた顔合わすのかな・・・・」
不安そうな高村に、オレの心は跳ねる。
「大丈夫、なんかされそうになったらオレ絶対助けに行くから」
「ほんとに?」
「ほんと。だから気にせず見に来いよ」
「うん、わかった、ありがとー」
安心したような高村の笑顔に、オレの心の中のモヤモヤはきれいさっぱり消え去っていった。



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