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「だれよりもすきだったサッカーver」掲載中


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21もどかしさの行きつく先4



試合が終わってグランドを立ち去る間際、どうにか高村に近づくチャンスを作って裏門で待っててくれるように言った。
とにかく高村と二人きりになりたかった。
「お前じゃ高村は収まんねえよ」
荒井の言葉に囚われてしまったオレの心は、それを否定する何かを求めてひどく焦っていた。


全ての試合が終わって整備や掃除のあとの反省会が終わってようやく解散となり、オレは急いで高村の元へ向かう。
昇降口から一直線向こうにある裏門のそばに高村の姿を見つけた。
けれど高村の前には荒井がいた。
荒井は高村の足元の地面に腰を下ろすと彼女の腕を引っ張り、荒井にもたれかかるような恰好で尻餅をついた高村は怒って荒井に向かって何か言っているようだった。
けど荒井はそんな高村の様子を楽しそうに見ている。
その様子に気持ちが急いてうまく靴が履けないことにイライラする。
ダメだ、高村。早く離れろって。
焦るほど余計にもたつくオレ。
それでも二人から目が離せない。
高村は立ち上がるとスカートを払って門を背に、荒井から離れた。
それでもまだ全然近い。
あんなの、荒井がその気になればどうとでもなる距離だ。
ようやく履けた靴を強く踏み込んで駆け出す。
荒井が立ち上がって高村に近づこうとしたところで、ようやく高村もオレに気が付いたようだ。
けれど彼女が浮かべた気まずそうな表情にさらにオレの気持ちは傷ついた。
「なんだ、思ったより早かったじゃん?つまんねえな」
口角を片方だけ上げて荒井は笑う。
肝が冷えるというのはこういうことを言うのかもしれない。
荒井は、高村だけじゃなくオレの反応までも愉しんでるんだ。
「じゃあ俺は帰ることにするわ。またな、高村」
どういうつもりなのか、荒井は指の背で高村の頬をぺしぺしと叩くと、くるりと背を向け帰っていく。
荒井の去った方角を忌々しい気持ちで睨みつけ、それから高村を振り返る。
高村は困ったように視線を落とした。
そういう彼女の姿は、どうしたって荒井との間に「なにか」があったことを思わせる。
「・・・・ごめん、待たせた。行こ」
気持ちを立て直すこともできないままの不機嫌な声が口から出る。
高村は小さく「うん」と言って、オレの少し後ろをついてくる。
それも気に入らなかった。
オレとの距離はいつも、いつもこんなんだ。
これまでは、高村の鈍さとか無警戒さのせいにして気にしないできたことだったけれど、違うんだ。オレだけがいつも高村に距離を取られている。高村は今も、オレを避けてる。そういう現実を突きつけられた事に落ち込むよりも腹立たしさが湧き上がる。
「荒井と、約束してんのかよ?」
「するわけないじゃん。なんであいつなんかと」
「だったら、さっきのなに?」
「知らないよ、そんなの。荒井が勝手に言っただけでしょ?」
勝手?
ああ、そうだ。
いつだって荒井は勝手ばかりだ。
勝手に高村を殴って、勝手に高村に触れて。
その勝手を全部高村は許してて。
「じゃ、なんで昨日あいつと二人きりなんかになったんだよ」
オレがあれだけ警告したのに。
わかったって言ったくせに。
「二人きりなんかになってない!」
荒井は高村を連れ出したってはっきり言っていた。
「じゃあ今のは?なんで荒井と二人でいんの?」
オレとの待ち合わせなのに。
「知らないってば、あいつが勝手に来たんじゃん?」
「だったら断ればいいだろ?」
オレを待ってるんだってはっきり言えばいいじゃないか。
「そんなのおかしいでしょ?」
オレの試合を見に来てんだ。
オレと待ち合わせしてんだ。
それなのに、オレのことも荒井のことも同じにしか思ってないのかよ?
「じゃあ、オレが勝手になにしても高村は受け入れてくれんの??」
オレの勝手も、荒井の勝手と同じように。
オレだけが我慢する理由なんてないじゃないか。

乱暴に高村の腕を掴んで、力任せに引き寄せる。
けれど抱きしめるよりも先に高村の腕が思い切りオレの体を突き飛ばした。
手のひらに残った想像してたよりもずっと華奢な高村の腕の感触と、胸に残った予想もしていなかった高村のオレを拒んだ手の感触。
「・・・・なんで荒井なんだよ」
悔しさと腹立たしさに両手を強く握りしめる。
「あいつはお前のこと全然大事になんてしてないのに」
乱暴で、高村の気持ちなんてそっちのけで、自分だけが愉しんで。
「ちょっと待ってよ、何の話?」
「オレ、荒井に構うなって言ったよな?単独行動すんなって言ったよな?なのに何であいつと二人で話してんの?
お前殴ッた男だぞ?なんで?高村、オレの言うことは全然聞いてくんねえのに荒井の言うことはなんで聞くんだよ!」
そんなにあいつの方がいいのかよ?
こんなに高村のこと好きなのに。大事に思ってるのに。
なんでオレの言うことはなんにも聞いてくれないんだよ。
どうしていつまでたってもこの距離を無くしてくれないんだよ。
「だから!それは誤解だってばっ!!荒井がサッカーくんになに話したのか知んないけど二人きりなんかなったことないし、特別な話をしたこともないっ!サッカーくんこそ荒井の話は信じて私の話は聞いてもくれないじゃんかっ」
高村は声を荒げオレを睨む。こんな感情的な高村は初めてで、オレは言い返すどころかただ驚いて立ち尽くすだけだった。
「もういい。帰るっ」
「お、おいっ!待てよっ!」
背を向けた高村の背中を呼び止めたけれど、高村は足を緩めることもしないで走り去ってしまった。

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