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「だれよりもすきだったサッカーver」掲載中


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19もどかしさの行きつく先2


翌日の昼休み。
松山たちとオープンスペースで遊んで教室に戻ると、ちょうど高村と英子が壁際で立ち話をしていた。
英子には土曜日のことはすでに話を通して協力を頼んである。
だからてっきりその話をしてるんだとばかり思って、その前を通り過ぎようとした時。
「あ、そうなんだ。夜に遊びに行くって、楽しそうでいいなぁ」
なんの話だ???
「なになに?夜遊びの相談?」
松山が話に割って入る。他の奴らも、なになに?と興味深げに高村たちを囲むけれど、英子は顔の前で手を横に振った。
「夜遊びじゃなくて。稜ちゃんの去年担任だった先生が遠くに引っ越すからその送別会をするって話。ねー?」
「うん」
「夜に?」

聞けば、保護者主催の送別会は当時のクラス委員長の自宅で開かれるらしい。
問題はその自宅の場所だ。ここら辺の田舎度合いとは比較にならないくらい、さらにド田舎。家より圧倒的に田畑の方が多い地区。
「超ド田舎じゃん?高村ンとこ親同伴?」
「ううん、女子はほとんど子供だけだから、うちらは自転車で行くんだぁ」
高村は嬉しそうだ。それはいいけど、自転車ってまじかよ。
「つか、帰りヤバくね?あの辺ぶっちゃけ街灯一個もないし、マジ真っ暗だぞ。暗闇だからな?」
道を見失って田んぼに自転車ごと突っ込みかけたのは一回や二回じゃないからなっ、と町内に住むやつが言うとみんな笑った。
「帰りは地元の親御さんたちが自転車ごと軽トラ乗っけて送ってくれるんだって」高村の言葉に
「おおー。なんかカッケーなっ」誰かが反応すれば
「そうかぁ?さぶいじゃん?」と、高村は返す。
そうだそうだ、止めとけよ。
「なんだそれ、おっさんかよ」松山が笑う。
「けど確かにこの時期、夜の軽トラの荷台は寒そうだなっ」
「高村、鼻たらすなよ?」
「たらすかっ」
珍しいと言っていいくらいに機嫌の良い高村と、周りのやつらの賑やかなやり取りの傍でオレは不安な気持ちに襲われていた。

そのあとの休憩時間。席を立つ気配のない高村に声をかける。
「さっきの話。金曜日の。ほんとに行くのかよ」
「もちろん!!」
やっぱり嬉しそうな高村。楽しみなんだよな、みんなとも会えるし。
そう。去年のクラスメートたちは高村にとって特別だ。それはわかってるけれど。
「・・・・なー、マジで、単独行動とかやめろよ?」
「しないよ、人んちでそんなことするか」
「そーじゃなくてさ、あの辺、家もほとんどないし絶対みんなと一緒にいろよ?」
「うん、わかってる。心配性だよね、サッカーくんって」
「当たり前だろ?高村は、予測できねぇ行動ばっかするじゃんか」
「なにその失礼な言い方」
高村は口を尖らす。
こいつは一度気を許した奴にはとことん甘い。疑うことをしない。それはオレが一番知ってる。
だから心配なんだ。
送別会には、あいつも来るんだろ?
無邪気に楽しみにしてる高村に不安になる。
「じゃあ帰ってきたら電話してあげようか?」
高村に悪気はない。
わかってる。
けどガキ扱いされたみたいでムッとした。
「・・・・いい。そんなの、なんかオレ、カッコ悪いじゃんか」
なのに口から出た言葉は結局、完全に拗ねたガキそのものだった。
だからヤなんだよ。
高村はちっともわかってない。
そんな言われ方されたら「うん」なんて言えるかよ。

「サッカーくんはちっともカッコ悪くなんてないよ?」

いたって真面目な顔をしてる高村。
高村はお世辞なんて絶対言わない。
一気に心拍数が上がった。
不意打ち過ぎる。
「・・・・ほ・・・ほんとにそんなこと思ってる?」
「うん」
緩みそうになる口元を抑える。
なんでこんな恥ずかしいこと、真面目な顔で言えちゃうんだよ。

「・・・・え、とー、心配してくれてありがとね。ちゃんと気を付けるから」
急にしおらしい高村に戸惑ってオレは頷くしかできない。
「土曜日、応援行くから」
感動にも似た嬉しさがこみあげてくる。
なにこれ。高村がすごく可愛く見えるんだけど。
「あ・・・・あの、応援グッズとか、なんか持ってった方が良いものとかあるのかな?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
はい?なんだって?
「応援グッズって!!なんだよ、それっ」
思いがけない高村の発想にオレは爆笑してしまう。
「えー・・・・だってメガホンとかそれに代わる何かとか」
「いや、オレらただの中坊の部活の試合だしっ!そんなすごい応援いらねえからっ」
あ、ヤベ、笑いが、止まらないっ。高村面白すぎっ!!
「だって応援とかしたことないんだからわかんないじゃんっ」
キ―っと怒る高村。ああ、ダメだ、今のオレには高村が何をしても可愛すぎてどうしようもなくなる。
「あー、はいはい、そっか、うん、よくわかったから」
ポンポンと頭を撫でる。
このアクションに限っては高村的に問題ないらしいことはわかってきた。
むうとふくれっ面の高村は、思いがけず幼く見えて新鮮だ。
「ごめん、高村、ほんと笑える。アハハ」
「ほんと、来てくれたらそれで良いから。どんくらい出してもらえるかもわかんねーし。高村来るの、待ってるから」
「??待ってるも何も、試合、あるんだよね???」
「そーだけどさ」
良くも悪くも高村は真面目というかなんというか。
もう少し、深読みしてくれてもいいんじゃないだろうか。
「ほんとお前ってなんなの?ま、いいけど。とにかく金曜日、気を付けて行けよ?」
それと一番大事なこと。
「あんまり、荒井とか、構うなよ?」
わかってると高村は頷く。
意味、分かってないだろうなぁ。
あいつは悪い奴じゃない、っていう高村の認識は間違ってない。
荒井のことはオレだって認めてるし、オレには到底真似できないようなことをやってのけるやつだ。
だから、警戒もする。
ああいうやつの本気が一番怖い。
本音を言えば、高村を荒井に会わせたくなんてないけれど、高村にとって荒井は大事な友人の一人だ。
それにさらに本音を言えば、今はオレの方がずっと高村に近しいという自信がある。
荒井の話に出てくる高村に憧れていたあのころとは違うんだから。





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