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「だれよりもすきだったサッカーver」掲載中


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14オレの事情 高村の事情8

木内はオレを見るとにっこりとほほ笑んで傍に寄ってきた。
距離を取るオレを怪訝そうに見つめてくる木内から視線を逸らす。
「なに、話って。時間ないからとっとと済ませてくれ」
「・・・・・・・・サッカー、変わったね」
その言葉を否定することも肯定することも、必要なかった。

木内にとってオレは、いったい何なんだよ。
ずっと長い間燻っていた苛立ちも今はもう消えた。
オレにとって木内は、なんでもない。どうでもいい。
だからもうこいつに煩わされるのは終わりだ。
高村。
あいつの顔を思い浮かべる。
オレを変えてくれたのは、あいつだ。
あいつの強さを、オレも。

「木内」
長い間口にしたことのない名前を呼ぶ。
「こういうの、もうやめろよ」
「え?」
「小学の元クラスメートってだけで呼び出すとか、ないだろ」
「なにそれ」
木内は笑う。
「わたしたち、そんなんじゃないでしょ」
同意を求めるようにこっちに笑顔を向ける。

木内には通じない。
けれど、だからってもう何も言わない訳にはいかない。

「木内がなに勘違いしてるのか知らないけど、オレはずっとただのクラスメートでしかなかった。それだってもうとっくの前の話だ」
オレとお前は、もう何の関係もない。
口にすると改めてオレは木内のことをもうとっくの前から、「嫌っていた」のだと気づく。
そういうオレの様子を感じ取ったのか、木内は顔を強張らせた。
「あの子に、何か言われたの?」
「は?」
「最近あなたにべったりしてるんですってね」
木内の瞳に底意地の悪さが宿る。
ああ、こいつはいつもオレの周囲のやつらをそんな目で見てきたのか。
「オレが、あいつに、の間違いだ」
オレの言葉に木内は目を見開いた。
口も開いている。
こんな間の抜けた木内を見るのは初めてだった。
それでも立ち直るのは早かった。
「サッカーは誰にでも優しいから」
と笑みを浮かべる。
こいつの悪意と善意は、自分にとって利のある方向にしか存在しないらしい。
「誰にでもじゃねえよ」
その言葉を木内はまた自分の良いようにしか受け取らなかった。
「そうね。知ってる」
オレは心の中で木内をあざ笑う。
この女、バカだ。
なんにもわかってない。
「ずっと昔っから知ってる。だってサッカーのこと一番好きなのは私だもの」
木内はスッとオレに身を預けてきた。唐突な木内の行動にオレの体は体勢を保とうと反射的に動く。
そしてそれは結果として木内を抱き留めるような格好になってしまう。
「ねぇ」
至近距離で木内がオレを見上げてくる。潤んだようなやけに熱っぽい瞳がオレをまっすぐにとらえて離さない。
「覚えてるでしょ?」
脳裏に、いつかの光景が浮かぶ。


そう・・・・だ。
思い出した。
あの、二人っきりの教室。
あの時もこいつはこうやって突然オレとの距離を詰めてきてこんな目をしてオレを見てきた。


――――――私たちは私たちでしょ?―――――――

――――――サッカーのことを一番好きなのは私だよね?―――――

――――――サッカーも同じだよね?―――――

――――――ね?――――――



オレは木内のことを好きなんかじゃなかった。
全然、「好き」なんかじゃぁなかった。
それなのに、あの時。

柔らかくて細い手。
とろけるように甘い匂い。
熱っぽく潤んだ瞳。

初めて『女』というものを間近に感じたあの瞬間。

あの時のオレは木内の言葉なんて全く耳に入ってこなかった。
『女』にとりのぼせて、とりこまれて。
ただ木内に促されるままに頷いていただけだった。

「・・・・違う。オレはおまえのことなんて」

全部オレのせいだ。

「サッカーは誰にでも優しくするから、辛かった」
背中に木内の腕が回る。

違う。
違う。
オレは・・・・。
違うんだ。

愕然とするオレに木内は笑みを深める。
「ね、お願い」
甘えるような声と瞳がオレを絡め取ろうとしてくる。
「あの子とはもう仲良くしないで」
木内の息が口にかかる。
とっさにオレは木内の体を突き飛ばした。
小さな叫び声をあげて木内は床に倒れた。
「イタ・・・・・信じらんない・・・・・・・」
膝をさすりながら恨めしげな顔でこっちを見る。
「どうして?そんなにあの子の方が良いの?どうして?」
いい加減うんざりだった。
木内にも、自分にも。

もう終わりにしてやる。

「何度も言わせんな。オレはずっとおまえのことが嫌いだった!!」
「・・・っ・・・・・なんで?意味、わかんないっ。だってサッカーが言ったんじゃないっ」
「オレは何も言ってないっ!!お前が全部仕組んだことだろっ!?とぼけんなっ」
認めないと言わんばかりに木内は頭を横に何度もふる。
「全部、あの子のせいよっ!!」
初めて聞くヒステリックな木内の声。
こいつの本性を確信した瞬間、怒りがさらに湧き上がってきた。
「オレがお前のしてきたことをなにも知らないとでも思ってんのかよっ!!」
「な、なに言ってるの」
「オレとのことだけじゃない。いじめも全部!!お前が仕組んだことだろ、ふざけんなっ!!
お前、サイテ―なんだよっ!!」
お前のせいでどんだけのやつが傷ついてきたと思ってんだ。
ふざけやがって。
なにが、お願いだ。
どの口でそんなこと言えんだよ。
「いいか?あいつに何かしたら許さない!絶対におまえを許さないからなっ!」
「二度とオレの前に顔見せんなっ!!」
顔を覆って泣き出した木内に背を向け、オレは立ち去った。



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