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12オレの事情 高村の事情6

翌朝、高村はいつもと変わりなく教室に入ってきた。
けどオレが
「高村―、飴、ちょーだい!」
って声をかけたら
無表情だった高村の顔は真っ赤になって
怒ったような恥ずかしがったような何とも言えない表情を浮かべて
そのまま身をひるがえして出て行ってしまった。
戻ってきたのは、HRギリギリでそれきりオレの方を見てもくれない。

はい、またやらかしました、オレ。

昨日聞いた話で重くなった気を晴らしたかっただけなんだけど、
高村にとったらそんなこと知るわけもないわけだし、当たり前と言えば当たり前か。
ん?
だけどなんでむくれてんだろう。
荒井に飴をあげた、それだけじゃあないのか。
それを知られて恥ずかしかった?
なんで?

コトリ。
物思いに沈みかけたオレの前にすっと腕が伸びてきたかと思ったらすぐに引っ込んだ。
机の上には小さな飴がいっこ、置かれてる。
高村の方を振り返るけど、肘をついて窓の方を向いている格好。朝からまったく変わらない。
けど、机には飴玉。

くーーーっ、なんだよ、これ。

「ありがと」
「うっさい」
「食べていい?」
「勝手にどーぞ!」
ツンツンしてるその態度で「どーぞ」って。
ダメだ、頬が緩む。
包み紙をはがして、ピンク色の三角の飴を口に放り込む。
甘酸っぱい味が口いっぱいに広がった。
これを荒井が食べてる図は確かに似合わないなぁ。
惜しいけれど、どうやらこの飴はあっという間に溶けてしまうらしい。
ポリポリ。
未練たっぷりにゆっくりと噛み砕いていると視線を感じた。
そっぽを向いたままだったはずの高村が、
机に身を突っ伏すような恰好で顔だけこちらに向けてジト目でオレを見上げている。
・・・・・・・・可愛すぎるんだけど。
「なんで、知ってんの、それ」
それ、とは飴のことだろう。
昨日、梅の家で荒井と偶然会ったことを話すと、
高村ははああぁとため息をついて、反対の方向に顔を向けてしまった。
日差しを浴びてキラキラしてる高村の髪がすごくきれいで魅入ってしまう。
「・・・・・・・梅ちゃんのお兄ちゃん、元気だった?」
「うん。相変わらず面倒見のいいお兄ちゃんって感じ」
「・・・・・そう」
それきり高村は何も言わなくなった。
「稜ちゃん」が梅本先輩を何て呼んでいたのか知りたかったけど、
それを高村が口にすることはもう無いような気がして切なくなる。
もうとっくに口の中から消えてしまったはずの飴の甘酸っぱさが蘇ってきた。

ポンポン。

高村の頭をそっと叩く。
リクトを寝かしつける時の「ポンポン」とおなじくらい、そぉっと、何度も。
ぴくっと小さく揺れた高村の肩。
そのはずみでキラキラの髪がひと房、肩に流れ落ちる。
怒るかと思ったけれど、高村は何も言わず、じっとしていた。
なんとなく、泣いてるんじゃないかって思った。
オレの知らない、小さな「稜ちゃん」はきっと泣き虫だ。
泣きたいときはうんと泣いて、笑いたいときはうんと笑って、怒るときはうんと怒って、
どこにでもいる、普通の女の子だ。
今だって、きっと、少しも変わらない。
隠すことを覚えただけで。

オレの前では、泣いていいんだぞ。

そんなかっこつけた台詞、言えっこないけどさ。
オレ、どんな高村でもいいんだ。
こうして、傍にいたい。ずっと。


しばらくするとスースーと小さな寝息が聞こえてきて、そうっと覗き込む。
腕の中に顔半分埋めている高村の目は閉じたまんま。
眠ってる・・・。

高村は泣いてなんていなかった。
ただただ、静かな眠り顔。

女の子の寝顔なんて初めて見た。
可愛いと思うのは、それが高村だからかもしれない。
だけどそれとは別の、なんだかよくわからない感情が胸の奥から溢れてきて、
なぜだか泣きそうになって慌てて目をこする。

オレ、高村の居場所になりたい。



それから数日。
「ポンポン」のことを高村は何も言わないし、オレも何も言わない。
ただあれからオレと目が合った時の高村の眼元が柔らかくなった気がする。
微笑んでくれるとまではいかないけれど。
ああ、また少し、近づけたかな。

けれどそんなオレのふわふわとした気分をまるで見透かすかように、木内に呼び出された。
会いたくもないし、話したくもないけれど
いい加減、けりをつけなきゃいけないんだろう。
もう宙ぶらりんのままでいることは出来ない。
部活の始まるまでのわずかな時間なら、と応じたものの、やっぱり気持ちは塞いだ。

「どうしたの?顔色、悪いよ?なんかあった?」
心配してくれる高村に、いっそ洗いざらい聞いてもらいたい気もしたけれど
それじゃさすがに男が廃る。
「いや、なんもないよ。気のせいだって」
笑って返す。
これはオレの問題だ。
高村に話すのは、全部終わってからでいい。
こいつに心配かけるのはこれで終わりにするんだ。


待ち合わせた屋上には、木内の姿。
オレを見ると、にっこりとほほ笑み、スッと傍に寄ってきた。
わずかな甘さを含んだ柑橘系の香りが鼻をくすぐる。
木内が好みそうな香りだ。
「やっと話せるね」
大人びた外見に比べるとやや甘めの木内の声は嬉しそうだ。
オレを見つめる瞳も熱っぽい。
そんな目でオレを見るな。
「・・・・・なに用事って。時間ないし早く済ませろよ」
せいぜい不機嫌な声でそう言うのがやっとだ。
自分が情けなくなる。
さっきまでの決意はどこへ行った?
こいつの目を見られない。
見たら、また、流されそうな気がして。


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