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「だれよりもすきだったサッカーver」掲載中


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8 オレの事情 高村の事情2

土曜日の部活が終わって、片付けのために一年部員だけが居残っていた。
中学の生活に少し慣れてきた、1年の春の終わり。
上下関係の厳しい運動部は規律も多く私語も禁止だ。
けれど今は上級生の目も耳も気にする必要のない時間。
片付けも済ませて、グランドに続く階段に思い思いに腰を下ろして雑談中。
クラスの可愛い女子は誰だ?
まだコイバナにもならない話題で盛り上がっていた。


「荒井のクラス、結構粒ぞろいだよな」
「は?ブスばっかじゃん」
鼻で笑う荒井に誰かが聞いた。
「でも高村さんの妹いんじゃん?けっこう可愛くね?」
「え。妹いんの、高村さん」
「なんだ知らんの?こないだすごかったじゃん。高村さんたちが一年の教室の前通ったからすっげえ騒ぎになってたじゃん?」
「あ!知ってる!!俺見たぞ。なんか妹の忘れ物、わざわざ届けに来てたらしい」
「へぇ、意外すぎ」
「そんで?かわいいんだ?高村さんの妹って」
「結構好みだな!高村さんと違ってスゲまじめそうだったし」
「フツーだ、フツー」
聞かれた荒井はつまらなさそうに答える。
「えー、オレけっこう可愛いと思ったけど?」
「つか、高村さんの妹と仲良くなったりしたらさ、色々得じゃねえ?」
「先輩たちとお近づきになれっかも」
「おー、それいいねー」
そこからは上級生の話に変わっていってしまう。
この手の話が好きになれなくて聞き流していたが、気づけば同じような様子のやつがもう一人。
それが荒井だった。

荒井は荒井で、くせの強いやつだ。
荒井はいわゆる悪ガキで小学の頃から問題ばかり起こしてきたらしく、こいつがいるからって理由で入部を諦めたやつも結構いた。度が過ぎるいたずらが多いことや短気なところは確かにあるようだけど、気のいいところもあるし、場を盛り上げるのもうまい。自分の感情に正直すぎると言えばそうだし、身勝手と言えばそうかもしれない。
実際の荒井がどんな奴かはまだよく知らないけれど、こいつの大胆不敵で豪快なプレイは見てて楽しかったし、あんな風に出来たらと憧れるところもあった。
そういう荒井が、不良、と呼ばれる上級生の話に興味を示さないことはちょっと意外だった。

オレと目が合うとこっちの気持ちが伝わったのか
「つまんねえ話だよな」と荒井は苦笑いをした。
「高村は高村じゃねえかよ」
ぼそりと呟かれたその一言は、オレにとって雷が落ちたくらいに衝撃だった。

荒井とはそれから一緒に行動することが増えた。
こいつは確かに言動はめちゃくちゃなところが多いけれど、時々目が覚めるようなことを言う。
それが面白かったし、一緒にいて気楽だった。
オレにとっては初めて出会うタイプの人間。
「サッカーは周りに気を遣いすぎなんだよ、バーカ」
そういうことも悪気無く笑って言い放つ。
そんなところがオレにはむしろ心地良かった。
良くも悪くも自分に正直に生きている荒井が羨ましくもあったし、裏表のないやつだから安心できた。


その荒井は、たびたび高村の話を口にした。
彼女に対しての荒井の態度は聴いてるだけでもずいぶんとひどいものだったけれど、それに対して全く臆することなく荒井に接する彼女を荒井が気に入ってることは明らかだった。
いつも荒井は嬉しそうに高村の話をする。
その話を聞くたびに、オレまで気持ちが浮き立つようだった。
荒井が高村をどう思っているかは知らない。
ただ荒井なりに、彼女のことを大切にしているのは確かだろう。
そこに荒井の意外な繊細さも垣間見えて、だからなおさらオレの興味を惹いた。

その高村を一度、見かけたことがあった。

小学時代、オレが原因で不登校になってしまった渡辺と一緒だった。
渡辺は楽しそうに笑っていたんだ。
渡辺らしい元気な笑顔にオレは泣きそうになった。

荒井も、渡辺も、あの子の前では笑顔になる。

ああ、どうしたらオレはあの子に近づけるだろう。
きっかけが欲しくて、だけど見つけられないままに一年が終わってしまい
彼女と同じクラスになれる事に望みをかけた。

その願いがかなって高村と友達になれて、それからのオレは欲張りになってくばかりだ。

理科室の話をした時、高村の目が潤んでたのは絶対に見間違いなんかじゃない。
オレのために怒ってくれて、泣いてくれた。
そのことがすごく嬉しくてたまらない。
それに、帰り際のバイバイと恥ずかしそうに帰ってく後ろ姿。
いやでも期待してしまう。
少しくらいはオレのこと意識してくれてんのかなって。

けれど同時に不安にもなる。
あいつって全然、恋愛とか興味なさそうに見える。
ハルさんに対しては随分親しげだったけど、高村のハルさんを見る目に恋愛感情は浮かんでなかった。
ただの先輩後輩だ。断言してもいい。

高村みたいな子って、初めてだ。
木内のようなサイアクパターンはともかく、こんなに扱いの難しい女子って出会ったことがない。
嫌われてはないけどこっちが望むほど好いてもくれない。
ちっとも思うようにならないんだ。

あー、もどかしい。

机に向かってから何一つ進んでいないテスト勉強。
高村のことを考えては時間が過ぎて行く。

そういえば高村ってノートとんの上手いよな。
頭良さそうだ。
オレより全然成績良さそうだよなぁ・・・・・。
「あ、そうだ!」
高村の苦手教科、オレが得意になるってのはどうだ?
英語はオレも無理だし、あいつの苦手教科って英語以外なにかあるのかな?
このあいだの数学の小テストはオレのほうが点数良かったよな。
「よし!」
この手でいこう。
手付かずのままの机の上の国語をさっさと片付けて、かわりに数学の教科書を広げた。

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