☆きらきら☆

「だれよりもすきだったサッカーver」掲載中


6 高村との出会い 6


不意に高村が振り返る。オレもつられてそっちを見た。
廊下をこっちに歩いてくるのは一個上のハル先輩。
高村さんが一番目をかけてるって話だから相当な人なんだろう。
だけど今はニヤニヤ笑いながらのんびりと歩いている。
それを高村はム―――っって顔で睨んでる。



思わず吹き出しそうになるのを必死でこらえる。
可愛すぎんだけどその顔。
そのままの顔で高村はわずかに頭を下げる。
一応先輩だもんな。
オレも高村に倣って頭を下げる。
それをやっぱり笑い顔のまま、はいはいって感じでハルさんは通り過ぎていった。
その背中を見送る高村の目は苦いながらも親しみが浮かんでるようだった。
松山の話でてっきり高村と高村さんたちとの仲は良くないんじゃないかと思ったけど、
少なくともハルさんとは険悪ってわけでもないようだ。
そのことに少しほっとする自分がいた。
それからちょっとうらやましいって思ってる自分も。


それからも高村はオレの話に付き合ってくれた。
幸いそれからは誰かが通りかかることもなくオレは夢中で高村と話していた。
最終下校を告げるチャイムの音は、この時間の終わりも告げる。
それが決まり事だったかのように高村はオレから離れて教室へと向かう。
あとを追ってオレも教室に入る。

斜め違いのオレと高村の席。
テストが終われば席替えになる。
席が離れてしまえば、今みたいに当たり前のように高村と話すことは出来なくなる。
高村は本人が思ってるほど、人と話せない子なんかじゃない。
むしろ誰とでも気持ちよく話ができる子だと思う。
誰かのことを悪く言うのを聞いたこともないし、口の堅さはオレがよく知ってる。
高村の良さに気づく男がきっと現れるだろう。
そう思うと、妙な焦りを感じてしまう。

鞄を持った高村は教室の出入り口に向かいつつ、自席で鞄を掴んだまま突っ立っているオレの様子を伺っていた。
「あ、ごめんごめん」
待ってくれてんだ。オレのこと。
慌てて高村の隣に並んで歩き出す。
幸い、誰にも出会うことなく昇降口まで二人きりでいられた。


「高村、裏門から帰ってんの?」
「うん」
裏門から続く坂はけっこう急こう配にできているけれど、高村の住む町への近道になる。
けどこの辺はどこもかしこも山だらけの田舎で、どこの町へ向かうにも緩急様々なアップダウンがある。
特に高村の町はこの辺でも古い土地で整地がされていないところがけっこう多く、町に入る道も見通しが悪かったり、人気が極端に少なかったりする。
「これでもずいぶん良くなった方だよ?新しい町が増えて、駅前も賑やかになったし。小さいころは空き地だらけで草も生い茂ってて怖いところもたくさんあったけど」
きっと雑草の背丈の方が高村より高かったに違いない。
「うるさいなー」
どうやら図星だったらしい。高村は口を尖らせた。
そういう仕草がいちいち可愛く見える。
小学の時の高村に会ってみたかったな、と思う。卒アルの中の高村だけじゃ物足りない。


あっという間に昇降口についてしまう。
薄暗い靴箱の並びは妙に静かで
高村の存在ばかり気になって、どうにも落ち着かない。


「じゃあね」
だけどあっけないくらいに高村はさっさと靴を履いて昇降口を出て行く。
振り返ることもなく。
寂しくなってんのはオレだけだ。

「高村!!」
呼びかけると高村はびっくりして振り返った。
なんなの、って顔してる。
ああ、まだ全然、ダメだ。
全然、遠い。
今日はたまたま近くなれた時間があった、それだけ。
「また明日な!」
すると高村はニコッと笑って、それから小さく、ホントに一瞬、手を振ってくれた。
それから慌ててくるりと背を向けて、今度こそ行ってしまった。

全然そういうの慣れてないってのがすごく出てて。

あーーーーーー、くっそ、かわいいじゃんか!!
なんだよ、もうっ。

オレはその場に思わずしゃがみ込んでしまった。



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