☆きらきら☆

「だれよりもすきだったサッカーver」掲載中


3 高村との出会い 3



「ちょ、サッカー」
クラスメートの松山が教室の端に手招く。
松山の表情からいい話じゃないってすぐに分かった。

理科室の机に、お前の悪口が書かれてる。

松山の言葉にショックを受けなかったわけじゃない。
だけど、こういうことは今までだって何度もあったから、免疫もある。
暗い顔してる松山に罪悪感。嫌な思いをさせてしまった。
「あー、なんか悪かったな」
「なンでお前が謝ってんだよ。ほら、みんなが移動する前に消しに行くぞ」

松山に引っ張られるようにして理科室に向かった。




「陰険な方法とりやがって。
文句があるなら直接言ってこいよ、腹立つな」

松山は普段からあまり感情を荒立てたりしない。
その松山が怒ってる。
同じクラスになったのは初めてだけど、こいつが人望あるのわかる。

「お前も平気な顔すんなバカ」
横っ腹を殴られる。本気でオレにも怒ってる、松山。
こいつ、いいやつだな。


けど理科室には先客がいた。
よりによって、高村が、いつもの場所に立っていた。
こっちからは背中しか見えない。
あいつは机の上を必死にこするような動きをしてた。

急激に、あそこに何が書かれていたのかが気になってしまう。
高村には見られたくなかった。
あいつには、オレのそういうところ、絶対見られたくなかったのに。


「よりによって、高村か」
悔やむような松山のつぶやきを背中で聞いていた。
なにがよりによってなのか、オレにはわからなかったしそれを考える余裕もなかった。

誰もいない教室で、高村は必死になって、オレの悪口を消している。
その現実に、吐き出しそうな気持ちになる。


オレも松山も動くことすらできなくて、ただその背中を見守る。
どんな悪口が書かれてたんだろう。
あいつはどんな気持ちでそれを読んだだろう。
今、どんな気持ちで消してんだろう。
悪口はいつだって、結構痛いところをついてたりもして。
だからオレは読まないでいつも平気なふりして消してきた。
なかったことにしてきた。
そこにある、事実も全部。

オレのこと、軽蔑しただろう。
きっと。


ダンッ!

静かな教室に突然響いた音に、オレも松山もぎょっとする。
高村の拳が机の上にあった。


「あいつ、グーで殴ってきやがったんだぜ?グーだぞ???普通女がグーで殴るか?」

不意に荒井の声が聴こえた気がした。
高村に殴られた話を笑いながら楽しそうに話してた荒井。


教室移動が始まったらしい、ざわめきが遠くから次第にこっちに近づいてくる。
オレも松山も、それに紛れるしかできなかった。




それからの高村は、いつもと変わらなかった。
まるでオレたちが見たのは見間違いだったんじゃないかって思うくらいに、いつもとおんなじ。
オレを見る目も、オレと話す口調も。
なんにも変わらない。
変わったのは、あいつの用意する二つの消しゴムがどっちも新しくなったってことくらい。
理科室で隣に座るたび、
ちょっと迷惑そうに、ちょっと困った顔で、結構呆れ気味にその一つをオレに貸してくれるのもいつもと変わらなかった。

そしてオレは、今までとは全然違う意味で高村のことをもっともっと知りたくなった。



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