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「だれよりもすきだったサッカーver」掲載中


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110 最後の年22

彼と並んで歩く帰り道。
「ナギにセクハラされた時のこと、覚えてる?」
私は思い切ってサッカーくんに聞いてみた。
サッカーくんはわずかに顔をこわばらせたように見えた。
「・・・・・なんでそんなこと聞くの」
「あの時、私を追いかけてきてくれたのはサッカーくんだったんだね」
「ナルのやつ・・・・・・。そんな話、してたのかよ。・・・・オレは何もしてやれなかったからな・・・」
悔しそうに唇をかむサッカーくんの手をそっと掴む。
「・・・・ずっと、気にしてくれてたんだよね」
クラス替えの前、担任が誰になるか怖がってた私に言ってくれた「守る」って言葉は、
優しさからだけじゃなくて、ずっとずっと深い意味があった。
「ありがとう」
その言葉しか、出てこない。
せめて気持ちが伝わるようにと、そっと、強く、彼の手を握りしめる。
「・・・・これからは絶対、あんな目に合わせたりしない」
「ん・・・ありがと」
サッカーくんの手はこんなにも心強い。

「な、高村。ちょっと寄り道いい?」
「うん?いいよ」

彼と一緒に向かったのは、中学校。
平日の夕暮れ時。
部活をしてる元気な声が聴こえてくる。
サッカー部が懐かしくなったのかな?

グランドに入るのかと思ったら、サッカーくんは裏門に向かった。
「変わんないな。つかまだ三年も経ってないんだし当たり前か」
裏門から続くけっこう急な下り坂を見下ろす。
この下には自転車置き場。
その奥にはちょっと開けた場所があること、サッカーくんが教えてくれたんだっけ。
「そこで初めて喧嘩したよな」
「え、そうだっけ??」
「そーだよ。なんだよ、忘れたのかよ」
「ここで喧嘩したことは覚えているよ」
足元を指さすとサッカーくんは苦笑いをする。
「・・・なんだよ、嫌な方覚えてんだなお前って」
嫌な方って、なに?
「喧嘩の理由、覚えてる?」
「えー・・・・なんだったっけ」
「お前、ホント忘れてんだな、オレとのこと」
「忘れてないよっ。サッカーくんの試合初めて見てさ、ここで待ち合わせして」
待ち合わせなんて、ドキドキした。
サッカーくんのことすごく好きになってたから。
それなのに。
荒井が来て、なんか変な話になったような・・・・・
「荒井がわざと高村にちょっかいかけてるのわかってんのに、
いちいち腹立てて八つ当たりして、お前を怒らせてばっかいた」
「荒井、性格悪いからね」
「・・・・・・まあ、そういうことにしとく」
「ん?なんて?」
「久しぶりにコロッケ食べたくなった。いこ」
サッカーくんはひょいと坂道と土手を隔てるフェンスを飛び越える。
「うわ、相変わらず身軽っ」
「ほら。手かして」
当然のようにこちらに手を伸ばしてくるサッカーくん。
その手に自分の手を預けてフェンスの網目に足をかける。
相変わらずグラグラするんですけど!
「大丈夫。ほら、おいで」
笑いながらサッカーくんはしっかりと腕を掴んで支えてくれる。
もう何年前のことだろう。
こんな風に、ドキドキしながら彼との帰り道。
あのころは、私も彼も、それぞれにドキドキしてただけの時間だったけれど
今は同じ気持ちで、つないだ手はつないだままで。

お肉屋さんの揚げたてコロッケはあのころと変わらない味。
「なんか思い出したよ。喧嘩して口きかなかった時があった」
自転車置き場の奥で、荒井がらみで言い争いをしてそれからしばらく疎遠になった。
おさぼり早退をした私のあとを追いかけて、フェンスを越えて、ここのコロッケを初めて食べた。
懐かしい。
あのころ、私はただ単純にサッカーくんが好きだった。
一緒にいて、話をして、笑い合って、そういう毎日がただただ嬉しかった。

「・・・・・・あー・・・・」
最後の一口をほおばりながらしみじみ思う。
「どした?」
「私、すっごく好きだったんだなー、サッカーくんのこと」
「ぶっ!?はっ?な、なに?急に」
慌てふためくサッカーくんがなんだか可愛い。
「懐かしいなって思ってさ。ごちそうさまでしたー」
ベンチから立ち上がり、スカートを払う。
「高村。新しい道の方から送るよ」
「え。いいよ、今日は疲れてるでしょー?一人で帰れるよ」
「いーから。ほら、行こ」
半ば強引にサッカーくんは腕を掴んで、遠回りになる新しいバス道の方へと歩き出す。
今日の彼はなんだか、少し、変だ。
だけど・・・・。
彼が何を望んでいるか、なんとなくわかる気がした。



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