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「だれよりもすきだったサッカーver」掲載中


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105 最後の年17


ショーのあと、4人で館内を回る。
私とサッカーくんは二人に遠慮したんだけど詩織さんが
「あら、せっかくなんだから大勢で楽しみましょう」
なんて笑顔で言っちゃって、沢井さんも何故か異議を唱えもせず、
こうなると重ねて遠慮するのはむしろ失礼な気がして。
それに詩織さんの言葉の端々からも、
なにを見てもまるで初めて見たかのような反応をする様子からも
少し思うところがあって、この人の気が済むまで付き合ってもいい気がしていた。
だってホントに楽しそうに笑うから。


気ままに私を連れてはしゃいでいる詩織さんと、その後ろをついてくる沢井さんとサッカーくん。
男子二人が並んでる姿もこれまた不思議な光景だ。
・・・・・話題とか、あるんだろうか。
とても盛り上がってるとは思えないけれど・・・。

それでも昼時になったところで沢井さんが切り出した。
「いい加減二人を解放してあげないと。受験前の最後の息抜きなんだから、邪魔しちゃ悪い」
「そうね。ふふ、楽しくてついわがまま言っちゃってごめんなさい。
サッカーさん、稜さんお返ししますね」
「あ・・・・・・はい」
「じゃあな二人とも。受かれよ」
沢井さんらしい励ましと共に二人は離れていった。

「・・・・なんか、疲れたな」
「ふふ、ごめんね。私は楽しかった」
「だろうな。腹減った。飯行こうぜ」

午後はサッカーくんと二人でのんびりと見て回った。
沢井さんと詩織さんに出くわすことは無く、きっと沢井さんのことだから私たちがいないとこばかり狙って歩いてるに違いないと私たちは笑い合った。
帰る間際、立ち寄ったお土産屋さん。
可愛いものがたくさんあったけど、結局何も買わずに出てきた。
「良かったのか?」
「うん。大学、近くだもん。受かったらその時にまた来ようと思って」
「・・・・それもそうだな」
「・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・」
なんとなく互いに無言になる。
その時は一緒に、って言いたいのに、言葉にするのを躊躇ってしまう。
「・・・・・・・・そん時も、一緒だからな」
ぼそりとサッカーくんが言う。
「・・・う、うんっ」
驚きよりも嬉しいが勝って、思い切り頷いた。


混雑する電車を降りて、バスを待つ。
家まで送るとサッカーくんは言ってくれたけど、彼だって今日は疲れただろう。
だけど彼はロータリーに向かおうとした私を強引に駐輪場まで引っ張ってきた。
「送るって言ってんだ、素直に言うこと聞けよ」
出た、上から目線発言。
「・・・・・送りたいんだ。送らせろ、ばか」
「・・・・・・」
なんか余計な一言がついてた気がするんだけど。
「ありがとう。じゃあ、お願いします」
「・・・・・」
彼は何も言わなかったけど、鍵を開けるためにこちらに背を向けた彼の耳は赤くて。
・・・・・・・・。
こっちまでなんか、顔が熱くなる。

彼に自転車の後ろに乗っての帰り道。
お互い、なんとなく無言。
でもそれは私にとっては重たいものじゃなくて。
彼もそうだといいな、って思う。

自宅の明かりはついていて。
まだそんな遅い時間じゃないけど誰か帰ってる。
思わず二階の兄の部屋を見上げたけど、さすがにハルさんはいない。
ほっとする。
「・・・・別に誰に見られてもいい」
「え?」
「高村の隣にいるのはオレだって言っただろ」
「・・・・・うん」
「高村にちゃんとわかってもらえる言葉をずっと探してた」
「・・・・え?」
「オレは、お前がオレに言えないお前のことも全部込みで、受け止める覚悟、してるつもりだ」
「え。」
「まだ受験だってあって、頼りない状態だから、えらそうなこと言っても信じてもらえないってわかってる。
実際具体的になにがしてやれるかって聞かれても、なんにも思いつかないのもホントだし。
受験前にこんな話してる場合じゃないってお前に怒られるかもしれない。だけど、やっぱ、言っておかないと後悔するから」
「ま、待って。サッカーくん、あの」
先を訊くのが怖い。
でもサッカーくんは逃げ腰になった私の手首を強くつかんだ。
「好きだよ。高村」
掴んでくる手の力とはまるで反対に、ただひたすら優しい声だった。
「ずっと・・・・誰よりも好きだった。高村のこと」
「・・・・あ・・・」
心臓が、びっくりするほど大きく跳ねて、そのまま壊れそうなくらいにバクバクと音を立てる。
痛くて痛くて・・・・・だけど・・・だけど・・・・・・・、震えそうなほどに嬉しいと、思った。
けれど同時に、拭うことができないほどの罪悪感も襲ってくる。

ああ、やっぱり、ダメだ。
今はっきり、わかってしまった。

「・・・・ごめん。今じゃないって、わかってたけど言わずにはいられなかった。ごめんな」
頭を横に必死で振った。
サッカーくんは、何も悪くない。
これは、私の問題なんだ。
「あの、サッカーく」
「言うな」
静かだけど明らかな拒絶の言葉に思わず身を竦める。
「返事が欲しいから言ったんじゃないんだ。ただオレの気持ちをどうしても今伝えておきたかった。
オレの、身勝手だから。
受験終わったら、また一緒に・・・・二人で出掛けような」
「・・・・・・・・・」
頷けなかった。
ほんの少し前には自分から望んだことだというのに。

「高村」
優しく呼ばれて、顔が上げられない。彼を見られない。
「オレが言ったこと、ちゃんと覚えてて。それだけでいいんだ」
そうとだけ言うと、彼は掴んでいた手を離し、じゃあ、ともと来た道を帰って行った。


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