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「だれよりもすきだったサッカーver」掲載中


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102 最後の年14


「ただいま~、兄貴、ケーキ買ってきたぞ。稜ちゃんも来てくれた―」
次男くん・・・・・良平君は玄関を入ると2階に向かって声をかける。
返事は・・・・・無い。
おかしいな。
良平君のメールに返事はちゃんときたのに。

「気にしなくていいよ」
「寝てるんかな?起こしちゃ悪いし帰るよ」
「せっかくだしお茶くらいしてってよ。買い物付き合わせてここまで連れてきて帰らせたなんて、オレが兄貴に怒られるじゃん」
良平君はとにかく上がって、とリビングに連れていく。
主に家事を担当している良平君は段取り良く買ってきた食材を仕舞う傍ら、私に冷たいお茶を出してくれる。
そういう動作が板についててすごい。
家事の得意な男の子って呼び方ないのかな??

「ん?俺の顔なにかついてる?」
「あ、ううん。すごいなって思ってたの。サッカーくんも良平君も家のこと当たり前にやれるんだもん。学校や部活も忙しいのに、えらいよね」
「ははは、最初は必要に迫られてだったけど、いろいろやってるうちに面白いなーって。全然苦痛じゃないよ。むしろ工夫して美味しいものできた時はめちゃくちゃ嬉しいしさ。栄養バランスって体作りの基礎なわけだし知って損はないし。それにほら、最近は稜ちゃんレシピも教えてもらったりして、レパートリーも増えたしね」
うーん、前向き。
まぶしすぎる。
「さてと、これ、兄貴の部屋に持ってってもらってもいい?」
良平君は買ってきたプリンと飲み物を二人分載せたトレーを用意していた。
うー、手際よすぎる。
「でも、寝てると思うし」
「ううん、大丈夫大丈夫」
良平君に背中を押し出される形でリビングを出る。
「・・・・いいのかな」
人様のおうちの中を勝手に歩き回るというのは、抵抗がある。
まして寝てるかもしれない、病気療養中のサッカーくんの部屋に勝手に入っていいものだろうか・・・・・。
「・・・あれ?」
サッカーくんの部屋の扉は開いていて、外から風が入ってきてる。
当の本人も、普通に床に座って本を読んでいた。
「・・・・・・・・・・・起きてんなら返事してよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
うわ、出た。
不機嫌光線。
「起きてて大丈夫?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「おやつもってきたんだけど、食べる?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「入るからね?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
困った人だなぁと思いつつ、部屋に入ってテーブルにトレーを置く。
そして気が付いた。
いつも私が座る青いクッションがサッカーくんの真横にある。
迷ったのはほんの一瞬。
ええい、と、彼の傍に近づいてクッションに腰を下ろした。
するとサッカーくんが驚いた様子でこっちを見てきた。
なぜだ。
目が合うことしばし。あれ?
サッカーくんの顔が少し赤い。
やっぱり熱あるんじゃ・・・・・?
彼の額に手を当てて、自分の額の熱と比べてみる。
うん、同じくらいかな・・・・・・平熱だ。
うんうん。大丈夫。良かった。

「食欲あんまりないって良平君が言ってたけど、食べれる?」
トレーの上を見やりながら尋ねるけれどサッカーくんはうんともすんとも言ってくれない。
「甘いもの入るかな?良平君、今日は消化の良いもの作るって言ってたし、ご飯のほうが良ければ」
「食う」
どっちを?
と、聞き返す前にサッカーくんはトレーの上のプリンに手を伸ばした。
「・・・これ、高村が選んだ?」
「あ、うん。食べやすいかと思って」
「お前ってお見舞いはプリンが定番なんだな」
四男くんのことを思い出してしまうセレクトにしまったと思ったけれど、サッカーくんは笑いながらプリンを口にした。
「うん、うまい」
さっきまでの不機嫌がウソみたいに満面の笑みのサッカーくんにつられて私も笑顔になる。
場の空気が変わった。
「いろいろごめん。気を遣わせた。なんかオレが一番ヘタレだよな」
「そうだね」
「・・・・そこはちょっとくらい否定してくれても」
「強がったほうが楽な人もいれば、ヘタレたほうが楽な人もいるんだよ。
どっちが良いとか悪いとか、カッコ良いとか悪いとか、そういうことじゃないからさ。
サッカーくんのしたいようにしたらいいんだよ。私はそれに付き合うだけだからさ気にしないでよ」
「・・・・・・・ん。ありがとな」
それからは彼が休んでいた間の夏期講習のこととか学校のみんなの話をしながら時間を過ごした。
明日からは行けるからというサッカーくん。
「良かった。また明日から一緒だね」
「ん・・・・」

サッカーくんが不意に真顔で私の方に体を向き直す。
「高村、なんかあった?」
「へ?なんで?」
「・・・・・なんか今日のお前、おかしい。何かあったんだろ?」
「え・・・・え??なにが?なんで?私、変??」
意味が分からず焦る私をどう思ったのか、さらににじり寄ってくるサッカーくん。
「お前からオレに触れてくるとかありえない。何か考えごとしてんだろ?
なんか悩んでんなら俺に話せよ。頼りにならないかもしれないけど言えば楽になる場合だってあるだろ」
「え?あ、いや・・・・悩み・・・?」
私の悩みっていったいなに???
「お前が話してくれるのを待つべきだって思うけど、でも」
「いや、ちょっと待って。私に悩みなんて・・・・・あっ」
サッカーくんに触れたことと悩みというワードが、四男くんのお見舞いに向かう途中の出来事とつながって腑に落ちた。
四男くんのことで頭をいっぱいにしてたサッカーくんが私を四男くんと思い違えて額をくっつけて熱を測ってきたんだった。
だからサッカーくんの額に触れた私も同じように悩んでることがあると思ったらしい。
いやしかし他意はなかったとはいえ、四男くんのことで寝込むほど思い詰めているサッカーくんに、四男くんネタ連発とかさ、私ってデリカシーなさすぎる。ちょっとへこむけど今はサッカーくんの誤解を解くのが先だ。
「大丈夫、サッカーくんだってわかって触ってるから」
「なおさらおかしいだろ」
え!なんでっ??
「高村」
じりじりと間を詰めてくるサッカーくん。
「ちょっ!!ストップ!距離近い!!」
押し戻すつもりで彼の胸に手を押し当てると途端に彼の方が驚いて勝手に身を引く。
てかなにそれっ!!
「そんなにおかしい?私がサッカーくんに触れんの」
「うん」
真顔で頷かれてしまった。
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