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「だれよりもすきだったサッカーver」掲載中


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90 最後の年2

「最近、いい顔つきになったな」
「ん?ん??」
三年生最初の二者懇談で、しょっぱなからセンセイに言われて戸惑う。
「自覚なしか。まいいや。学校、楽しいか?」
「楽しい・・・・・かな??」
「かな??か。ま、いいや。お前だしな」
「???」
意味が分からなくて不審げにセンセイを見上げる私をセンセイはただ笑顔で見ている。
「なに?分かるように言ってよ」
「わかるようになったら言ってやるよ。こないだの模試の結果な。見てみろよ」
差し出された成績表をまじまじと見る。


「え、マジ?マジでっ?これ私の??」
「間違いなくお前のだ。よく頑張ってるな。まさかこの時期でここまで伸ばしてくるとは思わなかった」
「うわーーうわーーーー、・・・なにこれ、うわぁ・・・・」
薄っぺらな紙を両手でつかんで、穴が開きそうなほど見つめてしまう。
「神棚に飾る」
神棚ないけど。
「それは合格通知の時だろ。まだまだそんなもんで満足するな」
「いや、でも、これ、今までで一番すごい!」
「そうだな。まあ、家でじっくり見ろよ。他にも話があるんだから」




懇談が終わって教室を出てすぐ、昇降口前に人待ち風なサッカーくんの姿を見つけた。
「サッカーくん!!!」
呼ぶとサッカーくんもこっちに気が付いて、壁にもたれていた体を起こす。
待ち人が来る前に話さなきゃと急いで駆け寄ろうとしたせいで、渡り廊下とのつなぎ目の凸凹に躓く私。
「おわっわっわっ・・・・・・っとセーフ~っ」
なんとかバランスを取ってどうにかコケはしなかったものの、サッカーくんは苦い顔をしていた。
「またお前は・・・・。毎回毎回、ほんとに・・・。ここまでくるともうむしろ見事だよな」
毒づくサッカーくんだけど、腕が不自然にこっちに伸びた格好でいつの間にか私の目の前に立っている。
察するに、駆け寄ってくれたらしい。
「ご、ごめん、ありがと」
「・・・・・なんもしてねえだろ」
プイと顔を逸らされてしまう。伸ばしてた腕もズボンのポケットの中だ。
いつもならまた怒らせてしまったことに落ち込むとこだけど、今日は違う!
「あのっ模試の結果だけど!!サッカーくん、すごかったってセンセイがっ」
「んだよ、聞いてんのかよ。お前のも見せろよ」
「うんっ」
成績表を見せ合っこする。
「おぉ、すげーな」
「わーーーーすっごっ!数学、すごすぎっ」
今回の模試でサッカーくんは、進路指導室の先生方もどよめかすほど好成績をたたき出した。
そのことをセンセイは懇談の終わりがけに話してくれた。
サッカーくんは教科ごとで成績のばらつきはあるものの、数学はぶっちぎりで校内一位を取った。
なにをどうしたらここまで伸びるのか。
センセイは、春休み以降の勉強方法に興味津々だった。
「高村のカテキョのこと、話したのか?」
「うん」

私には性格は悪いがたいへん優秀な家庭教師がいる。
家庭教師と言っても基本的には電話でのやり取りなんだけれど、
これが実に細かいところまでうるさ、じゃない、目が届くというかなんというか。
わざわざ本屋に足を運び自ら吟味を重ねた参考書と問題集を購入してきてるという、念の入れよう。
勿論同じものを私も買ってます。自分のお小遣いでね。
たまたまサッカーくんが同じ問題集を持っていて、そこから同じ大学を目指してることもわかって、
彼は沢井さんと縁がないこともないわけで、
その流れで、沢井さんが○○○大の院生であること、勉強を教えてもらっていることを話したら
「じゃあ俺も便乗させてもらう」ってことになった。
同じ教材を使っていると、お互いに教えたり聞いたりができて効率がいいしやる気も上がる。
その前からすでにサッカーくんはすごくまじめに努力を重ねていたし、
もともと彼は私なんかよりずっと頭が良かった人だ。
一度要領を得れば多分あっという間に伸びるタイプなんだと思う。


家庭教師の話を訊いたセンセイは複雑そうに口元をゆがめて顎をさすった。
そういう動作、すっごくおっさんぽいからよした方がいいのになぁ。
「あの時の、すかしたあんちゃんだな」
去年の夏の一件。
当たり前だけど、センセイの沢井さんの印象はかなり悪そうだ。
「あんちゃんて・・・・。ますますおっさんぽい」
「ますます?」
「あ!言っときますけど、何もやましいことの無い、ただの友達関係ですからねっ!!」
勢いよく言ってから、気づく。
あれ?これ言っても良かったのかな?
センセイの前では沢井さんが彼氏ってことになってて、あれ、でもあの時学生証は奏さんのもので。
でもセンセイはそれについて何も言わないまま今に至るわけで・・・・・。
「わかってる。それはちゃんと、わかってるよ」
私の思考を見抜いたかのように、センセイは言う。
あれ?あれれ??いったいなにをどうわかってるの・・・・・?
上目遣いの私にセンセイはまた口元を歪めて笑う。
「お前がちゃんと成長してるのはいい出会いがあったからだろ。
オレも前ほどは高村の心配をしてないぞ。ま、あくまでも前ほどには、だがな」
結局いまだに私はセンセイに心配をかけているわけですか。すみませんねぇ。
「人との出会いは財産だからな。大事にしろよ」
ポンポンとセンセイの手が私の頭を優しく叩いた。
結局センセイがあの夏の一件をどう解釈しているのか、はっきりしたことはわからなかったけれど
でもたぶん、センセイはわかってる。
わかってて、知らないふりをしてくれてる。
そう思う。



「高村?なにぼんやりしてんだよ」
「あ、ごめん、なんでもないよ。それよりサッカーくんごめんね、誰か待ってたんだよね」
「・・・・別にそんなんじゃねーよ。帰るんだろ?電車、乗り遅れる。行くぞ」
とっとと靴を履き替えて歩き出すサッカーくんに慌ててついて行く。
駅までの道のりも、やっぱり模試の結果の話になった。
「このまま伸び続けられたら楽勝かもしれないのになぁ」
そんなわけはないってことは重々承知で言葉にしてみる。
「それは無理だな。まだ全然足らないし」
「最近サッカーくん、ホント超まじめ」
「うるせ」
すぐ怒るし。
でも今日は、いつもの仏頂面は二割減ってところだなー。

そのサッカーくんが、土日も都合のいい日に一緒に勉強をしないかと提案してきたのはいつもの分かれ道だった。
それは思いがけない話だったけれど、いい話のように思えた。
同じ教材を使って勉強を始めてからの手ごたえは確かにあったし、今回の成績にもつながった。
まとまった時間で一緒に勉強できたら、もっと効率も上がる気がする。
だけど問題は場所だ。
市立図書館は、自習厳禁だ。
長期休みと違って、学校の図書室は土日は空いてない。
「オレんち大丈夫だし」
サッカーくんちは男ばっかの兄弟四人。サッカーくんが長男だ。
「弟たちは土日は部活でほとんどいないし、親も仕事だし、気にしないでいいから」
「・・・・・・・」
いや、それ、逆に気になるでしょ。
それくらいの危機感は私にだってあるぞ。
「あのな、そーゆー顔で人を見るな。勉強すんだよ、勉強」
気分を害したらしいサッカーくんは私の額をツン!と突く。
「イタッ」
「お前の教え方、判りやすいんだよ。英語と国語、助けてもらえるとありがたい」
「私じゃなくて沢井さんだけどね。ほんとに迷惑じゃないのなら、私も数学教えてもらいたいし、
いいかな?ほんとに、だいじょうぶ?」
「全然問題ない。んじゃ、決まりな。明日、1時にオレんちでいいか?」
「明日・・・はいいけど、私サッカーくんち知らないです」
「あれ、そうだっけ。W町5丁目のバス停判るか?んじゃ、そこで待ってる」



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