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80 まっさらな気持ち1


気が付けば、もう二月。
山間部であるこのあたりは、とにかく雪がよく積もる。
今日も快晴ながら雪が朝からずっと降り続き、
積もったり溶けたりを繰り返しては
放課後となった今、
五センチ程度の深さの雪が道路を覆っていた。

人の影響を受けない山はもう何日も真っ白なまま。
いわゆる冬のレジャーには無縁の私にとってそれはただただ綺麗な景色であって
学年末テストと進級の合間、
つまりいよいよ受験生となるまでのわずかな期間を、
遊びの予定で埋めてやろうという盛り上がりとはやっぱりさっぱり無縁で、
今週後半から始まる期末テストに向けて、気合を入れているところ。

二学期の模試では、じりじりとではあるけれど上向きの結果を得られて
この三学期の途中にあった模試では、とうとう合格への希望が見えてきた。
この短期間に自分でも驚きの結果に、奇跡だとしか思えない。

第一志望の○○○大学。
奏さんの(沢井さんも)通った大学。

奏さんがピックアップしてくれた進学先の中に○○○大学の名はあるにはあったけれど
あの当時の私には、とんでもなく雲の上の更に向こうの学校という感覚で
だからあの時の進路希望調査票には、その大学名は実は書いていない。
もう一つランクを下げた学校ばかり。
それでも私にとってはどれも難関であるには変わらなかったし
だからこそ、センセイも十分に納得していたと思う。
二学期始まってすぐの模試でもその学校名を並べた。


けれど学祭からひと月後の模試の時には、○○○大学を一番最初に書いた。
勿論判定はひどいものだったけれど、何か引っかかったらしいセンセイに呼び出された。

「なんで急にこの学校なんだ?」
「・・・・・行きたいから」
「本気で考えてるのか」
「はい。絶対受験したいです」

判定じゃとても受験までこぎつけられはしないのは明白。
でもあと一年ある。
バカだと笑われてもいい。
私の気持ちは決まってる。

「お前、塾とか行ってんのか」
「行ってない。やっぱり行かないと無理なのかな」
「教員がこれ言っちゃおしまいだけど、かなり厳しいのは事実だ」
「・・・・・・」
うちの経済状況を考えたら、とても進学塾に行くなんて無理だろう。
そもそも大学進学だって、相当厳しい。
「自学だけじゃどうにもならない?」
「・・・・本気で、行きたいんだな?」
「はい」
「相当厳しいぞ」
「わかってます」
でも諦めたくない。
あと一年、やれるだけのことはやりたい。
「三者懇談では、親御さんにもちゃんと話せるか?」
「はい」

それから迎えた三者懇談では、提示された私の模試の結果と学校の成績に志望校判定。
それらを父は難しい顔をして見ていた。
「・・・・・・お前は、大学に行きたいのか」
「・・・うん」
福祉医療系の仕事をしたいという話は両親にはしていたけれど
そのための進路先が大学だとは話していない。
専門学校の方が手っ取り早くて、簡単だ。
学費的ににだって負担は少ない。
案の定、父は眉間にしわを寄せている。
「・・・・・・先生。この子の成績で○○○大なんて、行けますか?」
「行ける、とは言えません。今の時点では相当厳しいでしょう」
「やはり塾に通わせるべきですか」
「お父さんは、どうお考えですか」
「この子が行きたいというなら行かせたいと思います」
「え」
思いがけない即答に、父親の顔を見る。
父は真剣な顔でセンセイと向き合っていた。
「ですが、今でも学校以外の時間はほとんど部屋にこもって勉強しているようでして、
それでさらに塾の課題に追われてやっていけるのか。
進学塾となれば近所にはありませんし、通うだけでも大変になる。
専門学校でも取れる資格のために大学を目指し、
そのために今の時間を全部受験勉強に使ってしまっていいのか、
正直、疑問があるのは事実です」
「おっしゃるとおり、今の高村にとって、この大学を受験することは学力も時間も、
精神的にも、いろんな面で厳しい状態です。
うちの高校に、このレベルの国立大学合格の実績がないのも事実です。
ですが、高村が本気で受験を望むのであれば我々も当然全力でサポートします。
すでに高村の件については、渡辺先生の陣頭で話が進んでいるんです」
「渡辺先生、とは去年の担任の?」
「そうです。高村の意志を伝えたとたんめちゃくちゃ気合入ってたからな?」
思わず、父と私は顔を見合わせた。

渡辺先生は、うちの高校に来る前の県内トップの進学校の進路指導を長い間やっていて
学力アップを図るために去年うちの高校に赴任して、一年特進クラスの担任となった先生だ。
貫禄たっぷりの、それでいて動きの速いおじさん先生で、
慣習にとらわれず、気難し屋の校長にすら有無を言わせず
バッタバッタと学校のシステムを変えていく様子を
とある世代の先生方は陰でこっそり「機動戦士」と呼んでいるらしい。

その「機動戦士」渡辺先生のおかげで、昨年度のうちの高校の進学率も進学先も
前年度までとは比較にならないくらいに良くなったらしい。
そして今年も、今まで受験すらすることのなかった難関大学を受ける生徒が増える見込みだと聞いた。

そんな凄腕の渡辺先生が、私の話で気合が入った?
本当だろうか。そんなこと。

「今の時点の成績ではまだまだ厳しいでしょうが、高村はよく頑張っていますし呑み込みも早い。
元々学力的にはよその進学校の生徒たちに劣ってはいませんから、
自信をもっと持っていいと思います」
視線が合うとセンセイは力強く頷く。
「医療福祉という進路希望も、とても向いていると思います。
彼女はクラス委員としての仕事もまじめにやってくれてますし、
ムードメーカーとしてクラスメートの信頼も篤い。
癖のある連中の多いクラスなんで、私も大変助けてもらっています」
「はあ・・・うちの娘がですか??」
ここで急に父が間抜けな顔になる。
「ええ。細かな気配りを誰にも気づかないうちにしてくれるので、トラブルの種もいつの間にか消えているんです。
こういうことは誰にでもできることじゃありません。高村の美徳と言って良い。
ただ人を思いやる気持ちが強い分、本人がしんどくなることも多いようですし、
そのあたりのバランスがうまく取れるといいんですがね」
「そう・・・ですか・・・。先生のおっしゃる通りかもしれません」
父は頷いているが、私は、なんだか恥ずかしくて顔を上げられない。
褒めてくれているらしい。
あのセンセイが。
私は、結構な問題児だと思うんだけど。


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