☆きらきら☆

「だれよりもすきだったサッカーver」掲載中


スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

<< 80 まっさらな気持ち1  TopPage  78 続・サッカーくんとの距離感4 >>

コメント


管理者にだけ表示を許可する
 

トラックバック

トラックバックURL
http://lovesweetsweetberry.blog54.fc2.com/tb.php/429-2cab763a


79 続・サッカーくんとの距離感5


休日の夕暮れ時の駅のホームに並んで立つ。
ほんの数時間前と同じように。
「・・・・・高村がさ」
不意にサッカーくんが話し出す。
「あんなに笑ってんの、初めて見た」
それを言うなら、サッカーくんの方こそそうだろうに。




昔みたいに元気に声をあげて笑うのとは、ちょっと違っていたけれど
それでも楽しそうにずっと笑顔で、
そういうサッカーくんを見たのは私はきっと初めてだ。
「んなこと、ないだろ」
私の言葉に、少し拗ねたみたいに反論するサッカーくん。
「お前といるときは、オレホントはいつだって・・・・」
「怒ってるよねー」
「はぁ?なに言ってんだよ」
「いつも、眉間にしわ、寄ってるもん」
「・・・あのな。お前」
「けどそんな怖い顔してるよりも、今日みたいに笑ってる方が、絶対サッカーくんに似合ってるよ。
クラスのみんなも、きっともっと話しかけやすくなるし、
サッカーくんのこと、もっとたくさん知ってもらえると思う!」
「・・・お前さ、オレがクラスのやつらと話すの見て、そんな嬉しい?」
「・・・・・・・え・・・・?」
サッカーくんの問いに軽い衝撃を受ける。
「・・・・・なんかお前、合宿ン時も、そんな感じだったし・・・・」


サッカーくんが楽しそうに笑ってくれていたら
私は、嬉しい?
私が、嬉しい・・・・・?

今日、せいちゃんがサッカーくんに話しかけてるのを見て
園ちゃんは私が笑ってるって言ってた。
でも。
それはサッカーくんの反応が面白かっただけで・・・・・。
クラスで怖がられてるサッカーくんが、クラスメイトの誰かと普通に話してるのが嬉しかったとか
そういうんじゃ全然なくて・・・・・。


合宿の時、ナル君がサッカーくんを信じてくれたことも、
あんなことがあった後でも水島君もナル君も、サッカーくんと変わらず話してくれてて。
サッカーくんから、部屋で夜にみんなで英語の勉強してること聞いて、嬉しいとか。

せいちゃんも水島君もナル君はも園ちゃんも。
多分富山くんも。
サッカーくんのこと、理解しようとしてくれてる人で
そういう人が周りにたくさんいてくれることが、嬉しいとか。



そういう風に、そんな風に、
私が考えるのは、ホントに図々しいことで。
私にそんな資格なんてなくて。
私なんかに、そんな風に気にしてもらう必要なんてサッカーくんには全然ない。
――― もう俺に構うな ―――
あの時いやというほど思い知ったのに。
私が気にしようとしまいと、彼にとってどうでもいいどころか、むしろ煩わしいことでしかなくて。
私はもうとっくに彼にとって要らない存在。
全部、自分の臆病が招いた結果。

だから今更、
【嬉しい】なんて言葉、言って良いわけない。




『稜ちゃん、もっと欲張りなよ』



ふいに。
奏さんの声が聴こえた。

「・・・・っ・・・」


ほんとうに、いいんだろうか。
奏さんからもったいないくらいにたくさんの幸せをもらったのに
まだこれ以上に何かを望んでも。
そんなこと、許されるんだろうか。


浮かぶのは、奏さんの笑顔。
私の何もかもをそのまま受け止めてくれた、優しい笑顔。





「・・・・・・うん。嬉しい。・・・すごく、嬉しいよ」

サッカーくんはわずかに目を見開いて、それからほんのちょっとだけ目じりを下げた。
「・・・・・・・・なら、いい」

それきり、ホームに電車がやってくるまでの間
私たちはずっと無言で、ただ並んで立っていた。

けれどその沈黙は少しも苦しくなくて。
目の前に広がる柔らかな夕焼けの色のように
暖かささえ感じられた。

戻りの電車は、休日の夕方とあって思いがけず混雑して。
私をかばうようにして立ってくれるサッカーくんは少し頼もしくて。

そのあともお互い言葉はやっぱり少なかったけれど、駐輪場の前でお別れするとき、
ごく自然に手を振り合ったことに、嬉しい驚きを感じながら帰り道の自転車を走らせた。

組み間違えたまま、無理矢理完成させてしまったパズルを
もう一度やり直すような、そんな感覚がする。


ねえ奏さん。
一歩、踏み出せたかな、わたし。
明日からはもっと笑っていられるかな。

間違えず、いられるかな。
この先、誰かを傷つけずにちゃんとすすめるかな。

関連記事
スポンサーサイト

<< 80 まっさらな気持ち1  TopPage  78 続・サッカーくんとの距離感4 >>

コメント


管理者にだけ表示を許可する
 

トラックバック

トラックバックURL
http://lovesweetsweetberry.blog54.fc2.com/tb.php/429-2cab763a




Copyright ©☆きらきら☆. Powered by FC2 Blog. Template by eriraha.

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。