☆きらきら☆

「だれよりもすきだったサッカーver」掲載中


76 続・サッカーくんとの距離感2


二学期のお愉しみと言えば学園祭。
夏休み明け早々にあった模試やら確認テストやら、そういう諸々の苦痛が終わると
校内はもうすっかり学園祭一色に染まる。

クラス委員である水島君と私、書記のナル君はそれぞれ本部の仕事も兼任するため
実質クラスの出し物を取りまとめる実行委員が選出された。
この人ならやってくれるだろう、という推薦のみで勝手に決められたようなものだけれど
元々人望のあるせいちゃん園ちゃん、アイデアマンの富山くんに加えて、
サッカーくんの四名に決まった。
合宿の際のお手伝いぶりが評価されたんだと思う。
名前が挙がったことに戸惑いながらも、彼は静かに引き受けてくれた。


水島君は本部役員、ナル君はクラブイベント部門、
私はクラスイベント部門の本部仕事も多少抱える。
私たち三人は完全な裏方仕事、デスクワークがメインなんだけど
本部の仕事と言ってもパンフレットの制作さえ終われば、
あとは、もはや学校行事のベテランである3年生がほとんど取り仕切るので
残りの時間はクラスの出し物に心おきなく参加できる。

けれどこのパンフレットの制作だけでも想像以上に大変なのだ。
割り当てられた仕事の締め切りを全部門に守らせるだけでも大仕事なのに、
これを取りまとめて冊子にするなんて、私には想像もつかない重労働に思えた。

水島君はそんな重労働が詰まっている本部の仕事に追われて、ほとんど教室には姿がいない。
本部の末端仕事である、クラスごとの仕事をナル君と二人で地味にこなす日々。
同じ教室内で楽しげにやってるみんなの傍で、ただいまパンフレットの下書きを作成中。

「ごめん稜ちゃん、忙しいところ。これ、買い出しリスト。急ぎの物は印つけてあるからね」
せいちゃんが差し出してきたリストはびっしりと品目が並んでいる。
「ハーイ、承りましたー。・・・うわぁ、結構多いね。お店いくつ回らないといけないんかな・・・」
「これさ、そこの商店街で買うより街中の専門店に行った方がいいよ」
ナル君はこの沿線で一番大きな街の商店街のお店を勧めてきた。
あの辺りは高校もいくつか点在していて、
学祭シーズンはどこのお店もある程度まとめて買うと安くしてくれるそうだ。
さすがナル君。
去年クラスイベント部門をしていただけのことはある貴重な情報だ。
「後半になってくると単品で買い足すものが増えてどうしても割高になってくるからさ
予算オーバーしないように前半はできるだけ底値買いして節約していかないとね」
「ほー・・・そういうものなのかぁ」
なんだかナル君てば家計を守るお母さんのようだ。すごーい。
「それと買い出しは必ず現場組の実行委員も同行するのが鉄則。
リストに上がっている物が本当に必要なかどうか
判断できるのは実際作業してる人間にしかわからないからね。
案外今あるもので代用できたりするモンも多いんだよ。
無駄はできるだけ省くようにしないとね」
「ほー・・・・・」
ナル君がやりくり上手なお母さんにしか見えなくなった瞬間。

「てことで週末はみんなで買い出しだね」
「週末?みんなで?」
「そ。でも今回は水島は役に立たないだろうから、あいつは除外でいいと思うけど」
「いやいや、そこは水島君にも声かけてあげようよ。同じ実行委員なんだからさっ」
「そう?わかった。おーい、実行委員~!ちょっと集まってー」

ナル君のおかげで話はトントンと進み、次の日曜日に買い出しに行くことが決まった。
うーん、なんかこういうのって、青春してるっぽい。


その日帰宅すると、また留守電を知らせる点滅ボタンが点いていた。
メッセージを再生する。
先週と同じ内容を同じ声が繰り返す。
それを聴き終えてメッセージを消去する。

直接会って話がしたいから連絡が欲しいと、すどうさんは言っていた。
けれど私には会う理由はない。
この世界にもう奏さんはいない。
すどうさんに会う意味が私にはなかった。

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