☆きらきら☆

「だれよりもすきだったサッカーver」掲載中


73 過ぎゆく夏の時間5


合宿6日目の夜。
この日は部屋で女子はおしゃべりに夢中。
私は隙を見て部屋をこっそり抜け出していた。

そして自販機前でまたしても、サッカーくんと出くわす。

今日の体育館は、明日のイベントの準備が行われていて使えない。
そのせいでみんな、それぞれ部屋で過ごしている。

ため息交じりでコーヒーを飲んでいる様子から、大体予想がついた。
こういうときって、男子も女子も、話題はみんな同じなんだろう。

「お前も、出てきたのかよ」
苦笑するサッカーくんに私もあいまいに笑って返す。


なんとなく部屋に戻る気にならない私とサッカーくんは、
どちらからともなく廊下を部屋と反対方向に歩き出していた。

講義室や自習室のある棟は、真っ暗でちょっと行きにくい。
目についたのは、体育館に向かう途中にある天文所の案内表示。
初日の夜、ここで天体の話を聞いて全員順番で天体望遠鏡を覗いた。
ちょうどナントカ流星群がよく見える季節だとかで、
初めて見る天体望遠鏡と、次々見える流星に感動したことを思い出し
思わず足を止めた私の手を
サッカーくんが不意につかんで真っ暗な階段を上がり始めた。

「え、ダメでしょ?」
「大丈夫」
なにが大丈夫なの?と思いつつ、彼に連れられて天文所の入り口前。
サッカーくんはドアを開けて中に入る。
用心わるっ!!
なんで彼が無施錠であることを知ってるのか、もはや聞く気にもならない。
けどそれ以上に、ガラス張りの天井から広がる夜空に、目を奪われてしまった。

この間は人が多すぎて、空を見上げて呆ける暇もなかったけど、
これは、すごくヤバい。綺麗すぎる。

「高村、口」
「あ」
慌てて口を閉じるけど、サッカーくんはさんざんおかしそうに笑ったあと、
近くの天体望遠鏡の椅子に腰を下ろす。
それに倣って、わたしも隣の椅子に座って、空を見上げる。
「・・・首、痛い」
「だな」
ってことで二人とも床でごろりんと寝転がることにした。
「「おおー、いいねえ」」
絶景だ。
「うちらのとこもたいがい田舎だし、空は綺麗だけど、ここはもっと星が多いね」
「ああ」
「小学校の時、あったよね、星座の観察の宿題」
「あったあった」
「星座盤とか懐かしいね。どこ行ったかな」
「オレんち、まだある。兄弟分3枚健在」
「マジで?物持ち良いねぇ」
「お前の言い方、年寄りみてぇ」
「失礼なっ」
そんなたわいもない会話をどれくらい続けていただろう。
背後で、コンコン、とノックの音がして慌てて身を起こし振り返ると
呆れ顔のセンセイが立っていた。
「お前ら、こんなとこにいたのか。勝手に入ってダメだろう?
特にサッカー、お前はこれ以上問題起こすなってあんだけ言っただろうが」
怒られるかと思ったけど、センセイは笑っていた。
「おおかた、コイバナとやらに参加したくなくて抜け出てきたクチだろ?」
センセイ、ニヤニヤ。
なんでばれてんの。
「一見珍しい組み合わせだけど、理由を考えればなるほど納得の二人だな」
センセイ、ニヤニヤ。
・・・・なんか、むかつく。

センセイは私たちの傍で胡坐をかくと、空を見上げる。
「しかしホントいい眺めだよなぁ。
この景色とも、もう明日でお別れだと思うと寂しいもんだよなぁ・・・・」
しみじみと言う。
「来年あるじゃん」
「来年はまた違うだろ。見えてるもんが」
先生の言葉に、私とサッカーくんも空を見上げた。

今と違う「なに」が見えるんだろうか。

「毎日、違うんだよ。同じに見えてるようでもさ。星も、お前らも」

先生の言葉に、しばらく沈黙が落ちる。
・・・・沈黙が、長い。

「・・・・・センセイ」
「・・・・・なんだ」
「照れるくらいなら、言わないでくださいよ。リアクションに困ります」
「・・・・・」
「・・・ぷ・・・っ・・・」
空を見上げたまま無言の先生と、笑いをこらえるサッカーくん。
「・・・・・お前ら・・・・・・。
勝手にここに入った罰として、このあと明日の準備の手伝いをしろーっ」
「「はーい」」
サッカーくんと顔を見合わせ笑いながら返事をした。



階段を降りたところで、私たちを探していたナル&水島コンビとせいちゃんと出くわす。
せっかくだからと全員で明日の準備を手伝うことになった。


最後の夜は、キャンプファイアー。
花火もある。
他にもいろいろゲームの用意もあって。
けれど明日の天気は少し怪しいらしくて、雨の時の準備もしなきゃならないらしい。
実行委員とセンセイたちとでは手が足りないらしく、私たちは歓迎してもらった。
そしてあっという間に消灯時間。
何とか無事に準備終了。
意外なところで関わった事だったけれど、おかげで明日が楽しみになる。
晴れるといいなあ。


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