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「だれよりもすきだったサッカーver」掲載中


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70 過ぎゆく夏の時間2


「あつ・・・・」
今日も補習のあとに図書館に居残りして勉強してきた帰り道。
猛烈な夏の日差しに思わず空を見上げる。
まぶしすぎる空にくらくらしそうだ。

駅前の自販機でお茶を買って、発車を待つ電車に乗り込む。
たいして乗客のいない真昼間でも、電車のドアは全開で
クーラーが全然意味をなさない。
もったいない。


買ってきたお茶をごくごくと飲むと、単語帳を取り出す。
「・・・・・・・・」
ヤバいくらいに頭に入らない。
もう、いいや。やめやめ。
集中できないときは、潔く諦めて楽しいことをした方がいい。
奏さんが言ってたことに従うことにする。

小さなため息をついて背もたれに身を任したタイミングで、横の通路を通り抜けた男子生徒がいた。
私の座るボックス席のもう一つ奥のボックス席に座ろうとして身をひるがえしたその人は、
そこでこちらに気が付いて動きを止めた。

「・・・・あ」
互いに互いの顔を見て、言葉を探す。
「・・・・部活?」
ようやく思いついた言葉を彼に問う。
「いや・・・・」
彼は言葉を切り、それからしばらくそこに佇んだまま何も言わない。
どうしよう。
この中途半端な距離と、間の悪さ。
彼がそこに座ってしまえば、やたら高い背凭れのおかげで私たちは完全に遮られる。
けれど彼はそうしないし、だからと言って私もどうしていいかわからない。
気安くこっちの席を勧める言葉をかけられるほど、私とサッカーくんの距離は近くない。
下手な言葉で彼を困らせたくない。

「・・・・こっち、いい?」
決断したのは彼の方だった。
彼は私の向かいの席を指した。
「あっ、う、うん」
向かい合わせに座ると、どこを見ていいかわからなくなってしまい視線を下げる。
彼のカバンにぶら下がっているストラップに自然、目がいった。
固そうな素材でできた、何かのロゴマークみたいな、いかにも今時の男の子風な。
でもサッカーくんが座り直すのと同時に鞄を体の横に置き直してことで
それは椅子と鞄の間に隠れてしまった。

「高村は、図書館?」
「あ、うん」
「熱心なんだな」
「う、ううん、そんなことないよ。全然わかんないことばっかで・・・・」
「・・・・・・なんの勉強してんだよ、お前」
サッカーくんは苦い顔をする。
「成績、いつもトップじゃん」
「・・・・」
「国立大とか、目指してんの?」
私は迷った挙句、頷いた。
「無理、かもしれないけど・・・行きたいとこあるんだ」
サッカーくんはただ、そうか、と言った。

発車時刻が近くなって、人がパラパラと乗ってくる。
同じ制服の人も、ちらほら。
「あ・・・・席…良いの・・・・?」
私と一緒にいるのを見られて困らないだろうか。
「補習のあと、進路指導受けてた」
「え?」
聞こえなかったのかな。
サッカーくんは、少しずつ増えてくる学生を気にする様子はなかった。
運動部の子たちとも違うし、学年もどうやら違うし、だからかもしれない。

電車が走り出す。
ガタンガタンと電車の揺れに身を任せながら、私はサッカーくんの言葉を待った。

「特進、やっぱ、スゲーきつい」
「え・・・」

うちの学校は、一年次のクラスは入学試験の成績順で最終組が特進とされ、
二年次三年次のクラスは番号が若い順からおおまかに就職組、文系、理系、特進に分けられる。
一年次は入試の成績のみでクラス分けされているから、実際は就職希望の子たちもいるわけで
だから二年次には、半数以上が入れ替わる。
二年次以降の特進クラスは、文理が入り混じっている状態になるから授業も結構分かれてしまうし
なにより中堅以上の大学進学希望者がそろっているから、
ほかのクラスより授業の進度が早いしちょっと難しいところも扱う。
そして何よりの問題が、教室の位置。
すべての教室が同じフロアに並んでいるにはいるけれど、その並び方がひどい。
一番奥から、トイレ、階段、一組~六組、階段、特進。
つまり、特進クラスの前の廊下には、他の生徒が来ることがほぼほぼないわけです。
そんな状況で「特進」という特別な意味を持たされたクラスは、敬遠され気味になってしまう。
確かに去年は、クラスの子たちに怖い子も多かったし、退学した子もいたくらいだし。
決していいクラスとは言い難かったけど、ほかのクラスだって似たり寄ったりだと思う。

でも今年は。
野々宮先生はあんな感じで気さくだし、クラス全体も明るい。
トラブルも今のところ聞いたことは無いし仲が良いほうだと思う。

けどそれは私が去年から特進にいるからそう思うだけで、
今年から入ってきた人には、また違って見えるのかもしれない。
「クラスの雰囲気、イヤとか・・・・・?」
思わず聞いてしまってから、後悔する。
彼にはっきりいやだと言われたら、落ち込むのは間違いないのに。
だけどサッカーくんは特に表情を変えることなく答えた。
「いや、別に全然。フツー。
坂下がいるのはちょっとアレだったけど、まあ、他がうまく抑えてるみたいだし」
「・・・・・あはは・・・・」
すっかり影が薄くなったから忘れがちだったけど、
坂下さんはサッカーくんのことを入学からずっと噂してたんだった。
さすがに同じクラスになってからはほどほどの距離を保っているように見えるけど、
坂下さんとサッカーくんは同じ部活だから、いろいろあるのかもしれない。

「オレが言ってんのは勉強の話しな。補習も毎日だし夏休みがねえじゃん」
「確かに」

サッカーくんは一年次、三組だったはず。
私的には、教室前の廊下さえ怖くて通れなかったあたりのクラスだ。
そのあたりから特進に入るっていうのは、多分すごく勉強したってこと。
でももともとサッカーくんは、頭が良い人だ。
だから、彼がやる気を出せば、今年特進にいることなんて全然不思議なことじゃない。

「それに一学期で数学すごく成績上がったよね。七月の月例テスト、順位表に載ってた」

月例テストの結果は、総合と各教科、上位30名まで貼り出される。
特進40名。そして特進以外の生徒であっても上位に食い込んでくる生徒もいる。
そんな中で、サッカーくんは数学で上位に名前があった。
勉強から遠ざかっていた時期があった彼の今の努力は、相当だと思う。

「・・・それでも、高村の方が全然上じゃん」
サッカーくんは、プイ、とそっぽを向いた。
「全然、追いつけねぇ」
「え」
「・・・・・・・けど、当たり前だよな。お前見てたらオレなんて全然だって思った」
「・・・・・・・・私は・・・・勉強以外、なんにもないし・・・・」
「んなことねえだろ」
思いがけず強い言葉が返ってきて驚く。
「あ、いや、クラス委員だって、頑張ってんじゃん」
「あれは・・・・水島君たちのおかげでどうにかやれてるだけで・・・・」

スゴイのは水島君とナル君であって。
私はただ言われたとおりのことをしてるだけだ。

「合宿の講義は決めた?」
「え?ああ、うん、野々宮先生のは全部受けることにした。あとは数学と英語と生物中心に」
「それほぼ全教科取ったってことだよな?まさか全部の枠、埋めたわけ?」
「え。みんなそうじゃないの?」
「いや、ンなわけねえだろ。レポートどんだけ出さなきゃいけないんだよ」
「えええっ???」
まじで!!??それ訊いてなーーーいっ。


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