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「だれよりもすきだったサッカーver」掲載中


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68 結ぶ刻-とき-5


家族に奏さんのことを話したことで、奏さんに会いに行く日は格段に増えた。
あの時期はちょうど期末テスト前で、
テスト勉強期間の平日すら、私は会いに行っていた。
でも試験が始まってしまえばさすがに会いに行く時間はなくて。

「毎日のように会えてたのがぷっつり会えなくなって、
奏介のやつ、すっげー寂しそうにしてたからさ、
だったら、お前から会いに行けばいいじゃん、って軽く言ったんだけど」
その時の奏さんの反応が、あからさまにおかしかったと沢井さんは言った。


「急に会いに行ったら、きっと稜ちゃん驚くぞー。でも絶対喜ぶぞーって。
なのにあいつ、邪魔しちゃ悪いとか、明日は試験最終日だっていうのにおかしな言い訳するんだよな。
なんだこいつ、いまさら照れてんのかとか思ってさ。
で、ついノリで言っちゃったわけ」

「大好きな稜ちゃんが別の男と仲良くしてるのとか見たくないもんなー、って。
奏介のやつ、すっげーマジで動揺してさ、焦った」

奏さんは純粋でまじめな人だ。
そういうからかいには絶対不慣れだと思う。
私だって逆の立場だったら、ちょっと考えちゃう。
奏さんは言わなかったけど、きっとすごくモテたと思うから。
「沢井さんてデリカシーなさすぎ。最低」
「アハハ、そう言うなよ。あんときは俺、その彼のこと知らなかったんだからな?
だいたい俺が言わなかったら、あいつあの時キミに会いに行けてないんだぞ?
あの日は、あいつにとって忘れらんない日になっただろ」
「・・・・・・うん・・・」
それは、私だってそうだ。
一生、忘れることなんてない。
大好きな人と、身も心も一つになれた日。


「彼はキミとの関係を修復したいんだろうに、キミは彼を避け続けてるんだろ?
本音じゃキミが彼にとられるんじゃないかって怖がってるくせに、
あいつは、それで本当にいいのかって気にしてた。
彼はキミのことを理解できる人なのに、
そういう人との関係を自分が断ち切らせてしまった自責の念に囚われてた」

「それに、奏介は、自分が稜ちゃんの【領域】に入ったら
稜ちゃんとの関係が終わってしまうという思い込みがあったしね」
確かに出会ったころだったら、私はうまく受け入れられなかったかもしれない。
でもそれは自分の【領域】を見られたくないだけで、彼を拒む気なんてない。
むしろその逆。
見られたら、軽蔑されて、憐れまれて、それで終わってしまうと思ってたからだ。
でも奏さんには、私はいつも自分から話すことができていた。
奏さんはどんな話も、まっすぐに向き合ってくれた。
そういう奏さんに惹かれてた。

「そうなんだよ。稜ちゃんはあの冬の夜にはもうとっくに奏介がキミの【領域】に入ってくることを許してた。
むしろ嬉しいと思ったんだろ?それなのに奏介はいつまでも尻込みしててさ。情けない奴だよなぁ。
まあ、当事者だからこそ、気がつけないってのもあったかもしれないけどな」

そんな奏さんを、沢井さんはほぼ無理やり連れだしてきた。
やっぱり無理矢理だったんだ、とちょっと思ったりもして。

けどそれじゃあ、あの時、私が落とした鞄を拾うサッカーくんを二人とも見てたんだろうか。
「うん、ばっちり。あれじゃ、気になるのも仕方ないかと思った。
キミと彼、少し空気が違った」
「意味が分かんない」
「ま、いんじゃないわかんなくて。言葉では言い表せないし俺も。
学生証の話、聞いた?」
「うん」
「そう。まー、キミのセンセイもなかなか食えない男だよな」
ふふんと笑う沢井さん。

あの学生証は、きっと奏さんの存在主張。
沢井さんはそれをわかってて奏さんの学生証をセンセイに見せたんだ。
あれをほんとに見せたかった相手は、きっとサッカーくんだったに違いない。
胸が、きゅ、となる。
「奏さん、バカなんだから」
がたごとと揺れる電車に身を任せながらクスリと笑う。
愛しい人。
私はあなたが好きだよ。
誰よりも好き。
知ってるくせに。



「あの時の奏介の気持ちなんてなにも知らないはずのキミがあの後に取った行動は、
だからこそすごく意味があるんだよ。
あれからの奏介は幸せに満ちていた。
あんなに幸せそうな奏介を、俺は知らない」

だから、ありがとう。
奏介と出会ってくれて。
孤独から救い出したのは、奏介ではなくてキミの方だ。

沢井さんの言葉に私は涙が止まらなかった。
私の方こそ、たくさん幸せをもらった。
あんなに素敵な奏さんに愛してもらえた自分を、少しは認めてあげていいのかもしれない。
そう思えるようになった。


「ああ、そっか・・・・」
だから昨日、想い出深いあの場所で、あのタイミングで、
サッカーくんと出くわしたのは、きっと意味がある。

そう思えたら、少しだけ、心が軽くなる。
これもきっと、前を向いて歩くために必要な出来事。

大丈夫、奏さん。
まだしばらくは、寂しくてたまらないと思うけど、
それでも、絶対、くじけたりしない。
今は、自分の夢に向かって頑張る。
それだけ考える。
奏さんは、いつでもそばにいてくれる。



電車がゆっくりと終着駅に到着する。
昨日短く切ったばかりの髪を整え、私は電車を降りた。

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